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数はどのように生まれたのか? |「ビッグクエスチョンズ 数学」の読書メモ

2020-04-10

数学は何のためにあるのか?数学の起源は?どのように数は生まれてきたのか?

上記のような質問に対して、理解が深まる面白い本。

数学は何のためにあるのか?数学の目的

数学の起源

数学の起源は、紀元前3000年にまで戻る。元々数学は、市場での取引や税金の支払、所有地の測量、星や惑星の理解、暦の作成といった現実的な事柄に使われていた。

その1000年後、エジプト人が、実用性とは関係なく、純粋に好奇心で、数の性質について考えるようになった。これが「数学者」の誕生となる。

17世紀後半になって、ニュートンが登場したことで、数学は科学の言語として、現代の地位を保証されることとなった。

数学は必要に応じて生まれるのか?革新的な数学研究が応用の機会を作るのか?

数学について繰り返し行われている議論がある。「必要は発明の母」なのか?それとも革新的な研究が応用の機会を作り出すのか?

数学者がニーズに応えた例としては、第二次世界大戦中に暗号解読者が必要とされた際に、特殊なスキルを持つ大学の数学者が採用され、ここから、世界初の電子計算機の開発へつながっていった。

逆の例もある。論理を台数で表す「ブール代数」が考案された時、この考案者は実はこの「ブール代数」が1世紀後にコンピュータ用の言語として使われることになるとは思いもよらなかっただろう。

このように純粋数学と応用数学は共生関係を作り続けてきた。

数はどこからきたのか?

3万年前には「タリースティック」と呼ばれる、印をつけた木の棒で数を記録していたという証拠が発見されている。

その後、紀元前3000年ごろに栄えたバビロニア文明によって、しっかりとした数の体系が登場した。ここでは60進法が活用されている。この時には、まだ0という数字は存在していなかった。

0の起源は、7世紀まで遡る。インドの数学者が0という概念を数の体系に組み込もうと試みた。それまで、バビロニアやエジプト、ギリシャ、ローマといったどの古代文明にも、「無」を表す数字が存在しなかった。

0を含めた体系として、10進法が生み出された。インドの数学者たちが最初に用い、後にアラビアの数学者が継承し、アラビアの旅人や商人、征服者の移動に伴って、北アフリカを通って、イベリア半島へ伝えられた。

12世紀には、アラビアの数字の知識が西洋に広がり始めた。その後、大量印刷技術が普及したことにより、数字の標準化はさらに進むようになる。

素数とは何だろうか?

1, 2, 3, ...と数(自然数)は存在するが、その中には、1とその数以外では割れない「素数」というものが存在する(2, 3, 5, 7, 11, 13, 17など)。

素数はなぜか気まぐれに存在する。数学者はこの素数の中からパターンを探し、あるかもしれない規則を発見しようとしている。

素数については、実に多くの研究が存在している。

最大の素数は何か、(素数の数は無限だとユークリッド数を使って証明されている)、メルセンヌ素数という特別な素数について、素数の任意の区間の分布はどうなってるか、素数の現れ方には規則があるのか、などたくさんある。

そしてこの素数の中で使われている数論は以前は応用例がない数学分野の一つといわれてきた。しかし今や暗号化やコンピュータセキュリティといった現代科学の中で重要な位置をしめている。

数学が発展するにつれて生まれる奇妙な数

正の整数から負の数へ

自然数が初めに発明されたが、数学が進むにつれ、-1, -10など「負の整数」が使われるようになった。今でこそ負の数の存在は受け入れられているが、かつてはその存在を疑い、反対意見を唱える人もいた。

整数から分数へ

しかし負の整数だけでは、整数と整数の間に存在する数をどう表すかという問題を解決できない。そこで分数が誕生した。

分数から無理数へ

ピタゴラス学派が三角形の長さを測ろうとした時に、ある問題が起きた。三角形の辺の長さを(a,b,c)として、もし a=1, b=1とすると、三角形の辺の公式に習い、1² + 1² = c²となる。(つまりc² = 2) したがって斜辺の長さは(c = √2 )で約1.4142だ。つまり分数では表せない。

当時広まっていた計測理論では全ての長さは分数になるはずだったので、√2が分数で表せず、計測も不可能ということが論理的に証明された時、ピタゴラス学派の理論は覆されてしまった。しかしピタゴラス学派はこの事実を却下することはできなかった。

さらにこの後、√3,√5,√8なども同じ性質を持つとわかった。分数と分数の間には、こういった「無理数」があることが明るみに出た。

無理数から超越数へ

有理数や無理数といった分類の他に、「代数的数」という分類がある。代数的数とは、xの方程式の解になる数だ。√2や√3は代数的数として分類できる。(例:√2はx² - 2 = 0の答え。√3はx² - 3 = 0の答え。)

しかし、数の中には、いかなる代数方程式も満たさない、無理数が存在するという。その「代数を超越する」数字は「超越数」と名付けられた。

超越数の例として、円周率がある。また、オイラー数もこの超越数に登場する。

こうして、数は、実用的なところから、根本的な変化を遂げた。人類が自分たちの家畜や穀物、土地といった、物理的な実態を数えるだけでよかった頃は自然数だけあれば十分だった。

今や数の世界は奇妙で不確実な世界をとるようになってきている。

壮大な数学の物語

数学を使って物理で物体の動きを計算する。数学を使って確率を用いて未来を予測する。数学を使って三次元以上の世界を考え、宇宙はどんな形なのかを探る。

数学によってできることは膨大で、この本を読むとこの世界はとんでもなく複雑で、美しい言語でできているのだと実感する。そしてなぜこの宇宙は数学でこんなにも正確に表せることができるのかも謎だ。

世界を数学のレンズを通してみると、とても新鮮であり、本書はその手助けをしてくれる。

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