地球温暖化の原因は?CO2削減のために私たちに何ができるのか?
誰しもこういったテーマに一度は触れたことはあるのではないか。
熱心な環境保護者ならもちろんたくさん学ぶだろうし、そうでない人もテレビ、学校の授業でふれてるのではないかと思う。
では全ての人が携わるであろうこの気候変動の問題、何が解決を難しくしているのか?
下記の本に興味深い点があったので参照した。
解決を難しくしている4つの原因
本書では、地球温暖化の解決を難しくしている理由として、下記の4つを述べている。
- フリーライダー問題
- 長期性
- 不可逆性
- 不確実性
1.フリーライダー問題

環境問題は地域に限定された問題が多い。
北京、ロサンゼルスのスモッグや、森林現象などは地域に限られる。
しかし二酸化炭素は全世界的な問題だ。
したがって、たとえある地域が制限を実施しても、他の地域がその分二酸化炭素を排出すれば意味がなくなる。
しっかり対策した地域が損をして、排出を気にせず経済をガンガン回す地域が潤うような仕組みでは誰しもやる気をうせるだろう。
こういった仕組みが存在している故に、積極的に公害制限を実施させることが難しくなっている。
2.長期性

気候変動は長期にわたってゆっくり、ゆっくり、変動していく。
平均温度や平均海面水準などは長期で見れば、はっきりと気候変動問題の影響が見て取れる。
しかし身の回りでは大きな変化が見にくいため、問題に重要性を感じられず、どうしても行動に起こすまでが難しくなる。
3.不可逆性

気候変動は逆転不能だ。
たとえ明日から温室効果ガスの排出を止めたとしても、今まで排出した分のツケは必ず回ってくる。
本書によれば、工業化以前の二酸化炭素濃度280ppmを上回る「ピーク上昇水準」の70%は排出ゼロが100年続いても維持されるという。
またピーク増加の40%ほどは、二酸化炭素の排出ゼロが1000年続いても維持される。
排出ゼロになったとしても、何十年の地球温暖化、何世紀にも及ぶ海面上昇を止めることは難しい。
4.不確実性

気候変動において、科学的に理解が乏しい部分や、将来予測できない部分があると共に、何が分かっていないのかが分からない「未知の未知」がある。
深い不確実性
この不確実性によって、より問題は見えにくくなっている。
現在使われている気候モデルを例に取ってみよう。
この気候モデルは二つの理由によって、うまく予測ができていない。
- 一つ目の理由:
ほとんどの気候モデルは分かっていることのみを中心にして組み立てるので、科学的理解が乏しい部分に関して気候モデルに含めることに保守的だ。
- 二つ目の理由:
確かに気候モデルは世界平均の数字を指し示すが、気候の動きについて根本的に分かっていない部分も多い。
これからの人類が排出する公害物質量などは予測できないし、排出と大気中濃度の関係、濃度と温度の関係なども分かってない。
社会が公害物質の削減に向けて、今後どの程度反応するのかも未知数だ。どのような対応策が今後練られて、それがどのくらい効果を持つのか。
そして、そもそも他に何が分かっていないのか、人類は分かっていない。
こういった不確実性が多数存在している。
本書が提案している気候変動へのアプローチ

本書では、炭素の排出に適切な価格をつけることを解決策のアプローチとして述べている。
人々が買い物をする際、排出にかかる費用を実際に実感することで、日々の意思決定に組み込むことができる。
二酸化炭素に正しく値付けすることで、人々は石炭や石油、天然ガスの使用を減らし、「最適な」汚染量を出す、というものだ。
では今日の二酸化炭素公害1トンあたり最適な価格をいくらにすべきなのか?
今後起こるリスクを見ながら、どのように値段を付けていくべきか、経済学的アプローチで本書は進んでいく。
ちなみに2016年に公表された世界各国の「実効炭素価格(※)」によると、日本の位置は下記のようになっている。

まとめ
気候変動の問題は、フリーライダー、長期性、不可逆性、不確実性の4点の要因でさらに複雑なものとなっている。
気候変動の問題に潜む根深い要因は、複数の人間の性質(長期的な利益より短期的な利益を優先する、負担を避けてなるべく利益を取ろうとする、など)が見事に絡まったものなのだと理解できる。
今回は下記の本を参照。
カーボンプライジングの他、ジオエンジニアリングなども取り上げている。
気候や大気や海などの地球システムを大規模かつ人為的に操作することをさすが、このエリアも議論がつきない。