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「期待」との向き合い方 | 「期待の科学 悪い予感はなぜ当たるのか」本のまとめ

2020-04-19

  • 「期待」ってなんであるの?
  • 「期待」はどの様な役割を生活の中で果たしているの?

上記の疑問に役立つ本を紹介します。


期待によって自分の考えがどう変化するのかを理解することで、余計なストレス、ネガティブな感情を産むことはなくなるだろう。期待という感情を理解し、ウェルビーイングを改善していくための本のまとめ。

なぜ人間は期待や予測をするのか?

人間の脳は、視覚や聴覚、味覚、触覚などの感覚情報を元に世界像を組み立てていくが、期待や予測は、人間の脳がまとまった世界像を作るのを手助けしてくれる。

予め予測することで、多すぎる情報を絞り込んで世界像を作る。

つまり期待は「情報のフィルター」の役割を果たしている。

そしてこのフィルターは、取り払うことができない。

期待のデメリットは?

「情報のフィルター」として、脳の処理を助けてくれる期待だが、極端に楽観的だったり、悲観的な期待をもって世界像を見ることで、期待が世界像を歪めてしまうことがある。

期待と人間の能力

人間は強いプレッシャーにかかると。「うまくいかないのでは」と負の予測に入ってしまったり、不安にかられてしまう。そして人間から能力を奪ってしまう。

どのように強いプレッシャーは人間の能力を奪うのか?

一つは勘が狂ってしまうことが挙げられる。

スポーツ選手の例をとってみよう。野球やテニスのサーブ、ホッケーのショットなどはどれも速すぎて、視覚の情報を処理して反応するのでは間に合わない。

だから一流のプロは予測能力にとても優れている。

また、スポーツや楽器の演奏などは、技術の習得が進むにつれ、意識的な思考は薄れていき、体が自動的に動いてくれる様な感覚になる。

次第に先を予測して対応する能力もできる。

しかし大きな大会など、プレッシャーにかかる場面になると、ファンの期待に答えようとか、試合の状況を今まで以上に分析したりとか、余計なことを考えてしまう。

考えれば考えるほど、自動的に体を動かして予測する能力が失われてしまうのだ。

上級者になればなるほど、フリースローやテニスのサーブなどいつもできるはずのことが、頭で考えれば考えるほどできなくなる。

期待と中毒

期待は、脳の「報酬系」にも強く関連している。

実は、報酬系には、欲しいものが手に入った時より、これから欲しいものが手に入るかもしれないという時の方が、強く活性化する。

この期待の力にが人間にやる気を起こさせる反面、害にもなり得る。

ギャンブルで言うと、ギャンブルをする人たちはお金が手に入ったことに喜びを得るよりも、「お金が手に入るかもしれない」という期待感に突き動かされている。

期待感を制御できているうちは良いが、完全に制御できなくなると、「中毒」や「依存症」と呼ばれる様になる。

欲求に支配され、満たされることのない期待感に突き動かされて無益な行動をとってしまうのだ。

幸福は慣れる

人間は何にでも慣れる。

人間は常に未来のことに心を奪われ、好きなものが手に入っても、また次のものに対して「手に入るかもしれない」という期待感の中で生きるのが人間だ。

本書の例では、デザートと年収をあげている。デザートも最も美味しいのは一口目で、あとの幸福感は一口目には及ばなくなる。

年収も、2倍増えれば2倍幸せになり、10倍増えれば10倍幸せになるのかというとそうではなく、どこかで頭打ちになると言う実験結果が出ている。

欲求が強すぎるのは問題

欲求が強すぎるのも問題だ。

例えば、幸せになりたいという人がいるとすると、望む幸福が強ければ強いほど、失望も大きくなるというジレンマが発生する。

期待と人間の体験

人間の主観的な体験は、期待によって良い方にも悪い方にも感じる。

飲食、本、音楽、映画、演劇など、主観的な体験によって決まる商品は、「高いものは良い」という観念に強く影響される。

価格が高いものに対しては美味しいはずだと思ってしまう。

そして実際にそれは美味しく感じる。

期待が主観的な体験を作用するため、企業はブランドイメージを高めるために大金を費やす。

そして、事前の先入観の影響を受けて得られた快楽自体は、決して偽物ではないことも実験によって確かめられている。

ではなぜ外部情報に影響されるのか?ここも脳の情報処理を負担を助けるためだ。

感覚情報だけではあまりに多くの情報を得られるので混乱してしまう。その分の他のエネルギーを他に向けた方が有益な時もある。

事前情報を元に、好きだと期待しているものに関しては、好きになってしまった方が効率的だ。

人間の好みは、案外外部情報に影響されているものなのだ。

期待と信用

価値はどこから生まれるのか?「多くの人が価値を認めるはず」という期待から、価値が生まれる。

貨幣はこの一例である。

他の人も信用しているはずだという期待から、貨幣は価値が生まれている。

他にも、人間が消費者として何かを購入するときは、信用や期待に影響を受けている。

例えば経済では、人間は楽観的に経済を見ているからこそ、経済は健全に保たれる。

何か商売を始めよう、事業に投資しようと言うのも、ある程度将来を楽観視していないとできない。

常に他人に影響される

信用、公平、正直など様々な美徳があるが、この美徳がどの程度尊重するかは周囲の態度によって刻々と変化していく。

周囲の人がどれだけそれらの価値観を大切だと思っていると感じれば、自分も高い価値を見出す様になるし、軽んじる人が多ければ、自分も信用を軽んじる様になる。

人間は何をどの程度尊重するか、周囲の他人の態度を見て無意識に価値観を変えている。

家族や友人、知人に強く影響されてしまうのだ。

人間はまた、絶えず周囲の人間の期待を感じながら生きている。

予感は現実になる

誰かについて何かを予測すると、自己成就することは多いと本書は言う。

予測が他の人に伝わり、本当に予測通りその人が動くということは起こりうる。

人間のステレオタイプは強い。

例えば「女の子は社交性があり、長い文章を読むのが得意」、「男の子、特にアジア人は数学が得意」など。このようなステレオタイプは、プレッシャーが強い場所であればあるほど、周囲の予測通りになってしまう危険性が増す。

このステレオタイプはポジティブに働くこともあれば、ネガティブに働くこともある。

期待と力

力がある人というと、「身体的な強さ、高い知性、多くの資産、強い影響力」を持っている人だと一般的にはあるが、実際に力を持つと人は変わる。

体内のホルモンのバランスも変わるし、考え方、態度も変わる。

そして面白いのは、実際に力を持っていない人も、「力がある」と錯覚すると、実際に力を持っている人と同様の変化が起きうるということだ。

本当の場合でも、プラシーボの場合でも同様の効果が起こる。

楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい

現代心理学の理論によって、「感情が身体に反応させるのではなく、身体の反応を脳が解釈して、感情が生まれる」というものがある。

ここから、姿勢や普段の身体の動きが精神的に影響することも発見されている。

例えば姿勢をよくしたり、腰に手を当てたりして自分を大きく見せるだけで、自分には力があるのだと、実際に心の中で変化が生じる。

周囲も影響を受ける。背筋が伸びている人を見ると、無意識のうちにこの人は力があるに違いないと思い込んでしまう。

プラシーボの様に、身体の姿勢は人間の態度や気分に影響を与えるが、それは気のせいではなく、本物だ。

まとめ

期待は、脳の情報を処理する「情報フィルター」としての役割を果たす。判断するためのパワーを節約できる反面、期待の持ち方によって、歪んだ世界観で世界を見てしまう危険性もある。主観的な体験、身体の反応、気持ちの持ち方などは期待によって、変わる。


以上期待についての本をまとめた。期待は脳に備わっている機能であり、取り除くことはできない。そして期待によって人間の主体験、周囲との関わり方は大きく変わる。

だからこそ、期待の力をよく理解して、それをポジティブに使っていくことで、精神的により良い状態を保ち、ウェルビーイングの改善に役立つのではないかと思う。

このまとめを裏付ける実験内容、詳細、書いていない章などもあるので、気になる方は是非。

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