Books Nature

私は一体どこからきて、どこへ向かうのか?| 「オリジンストーリー 138億年全史」本のまとめ

2020-04-04

私はいったいどこからきてどこへ向かうのか?私がみているこの世界はいったいなんなのか?そしてこの世界は最終的にどこへいくのか?そもそもなんで何かが存在するのか?たまに自分という感覚がよくわからなくなる時がある。

そんなときに取ったのがDavid Christian著の「オリジンストーリー 138億年全史」だった。自分はどこからきてるのか、実は自分は壮大な時間軸の中で、動いてる物質の一部と考えるとすごい面白い。

7つの臨界点

この本ではビッグヒストリーとして、宇宙の始まりから、宇宙の終わりまでを捉えている。そしてその歴史には7つの臨界点を軸にして、歴史を分けている。臨界点では以下の7つを挙げている

  1. 宇宙の始まり
  2. 恒星と銀河
  3. 恒星と銀河ー2
  4. 分子と衛星
  5. 生命
  6. 人間
  7. 農耕

1. 宇宙の始まり

宇宙が誕生。

ビッグヒストリーではいきなり難問にぶち当たる。それは、「宇宙はどのように始まったのか」という点だ。これはまだ現代の科学でも解明されていない。 この宇宙の始まりに関しては、哲学でも大きなタイトルの一つだ。

アイザックニュートンは神を万物の「第一原因」と考えた。しかし、もし神が世界の元を作ったのならば、この神を作ったのはいったいなんなのかという問題になる。堂々巡りだ。宇宙物理学者のスティーヴンホーキングは、「始まりは」という問の立て方が悪いと主張しているという。時間には縁も始まりも無いと。

始まりの答えははっきりしていないが、宇宙の始まりで最も広く受け入れられている起動役がビッグバンだ。ビッグバンの瞬間、宇宙全体は原子一個よりも小さく、その中に今日の宇宙に存在するエネルギーと物質が全て押し込まれていたのだという。

ビッグバンからは、物質とエネルギーだけでなく、物理法則も出現した。この物理法則によって構造やパターンが生まれた。それが138億2000万年の月日を経て、今の世界を形成したのだという。

その全てのエネルギーと物質が詰まった物体がなぜ、どのようにして出現したかも謎の領域だ。

2. 恒星と銀河

恒星が誕生。

ビッグバンによって宇宙ができたがそこから数億年間は、宇宙はとても単純だった。しかしそこから恒星と銀河が生まれ、宇宙に複雑さがましていくようになる。

恒星と銀河という大きな構造が生まれるための原動力は自由エネルギーだ。そして自由エネルギーの決定的な源泉は重力だった。重力によって原子が無理やり引き寄せられ、頻繁に原子同士で衝突するようになった。重力によって圧力が増すと、中心部はますます高密度になり、温度が上がり、膨張し、重力を押し返す。こうして恒星が出来上がった。

3. 恒星と銀河ー2

様々な元素が生まれる。

ここで宇宙はさらに複雑さを増す。ビッグバンから10億年後までは、水素とヘリウムしか存在していなかった。

しかし第三の臨界を超えることで、元素周期表に載っている全ての元素が生み出されることとなった。多様な元素が生まれることで、宇宙で遥かに複雑なことが起こるようになった。

ここでの臨界点を迎える条件とは、大量の陽子と、ビッグバンの時ぐらいの温度だ。そのような高温は、恒星が死にかけて崩壊していく中でできていったという。

重力によって出来上がった恒星は、水素(陽子1個)の陽子を核融合してヘリウムの原子核(陽子2個)にすることで、必要とするエネルギーを生み出す。

安定して輝く主系列星の恒星は水素を核融合するには十分な温度を持っているが、ヘリウムの原子核を核融合するには、水素を核融合する温度よりさらに高い温度が必要となる。

なので陽子を使い果たし、エネルギーを生み出せなくなった恒星は自分自身の質量を支えきれなくなって重力崩壊する。重力崩壊した後は、重力によって圧力が増し、再び熱くなり、「赤色巨星」が生まれる。

このときに、赤色巨星が十分な質量を持っていると、重力によって圧縮され、核がこれまでに無いほど温度を持つようになる。すると、今まで温度が足りずに融合できなかったヘリウムの原子核が融合され、炭素(陽子6個)や酸素(陽子6個)のようなもっと重い原子核を生み出すようになる。

こうして他の元素が生み出され、宇宙は化学的に多様になった。宇宙が化学的に多様になることで、複雑な分子が生み出されるようになり、新しい種類の天体形成することが可能になった。

4.分子と衛星

こうして生まれた様々な分子は、惑星や衛星や小惑星など、新しい天体の基本構成要素を提供した。惑星は構成よりも化学物質が豊富で、温度も低いので、複雑な化学作用がたくさん生まれ、この動きが生命を生み出すこととなる。

5. 生命

この臨界点においてはなによりも新しい点がある。それは”目的意識”があるということだ。宇宙や恒星には目的があってできたとは考えにくい(もしかしたらあるかもしれないけど)が、生物には目的がある。本書によると目的は二つ。

  1. エントロピーや予測不可能の環境をものともせずに生き続けること
  2. 同じことができる自分の複製を作ること

恒星はただただ自分の中にある陽子を使い、使い果たすと、崩壊する。しかし生物は自らを保つために、環境からの新しいエネルギーを常に追い求める。人間に関していえば、こうした目的を達成するための手段として、欲望や思いやり、目的、倫理、愛などを作り出した。

生命のための臨界点が起きる条件はいったい何なのか?本書によると四点ある。

  • 太陽系は天の川銀河の中のちょうど良い場所に位置する
  • 化学作用は低い温度でだけうまく行われる
  • 液体が存在すること
  • 化学物質の多様性

こうして様々な条件から、複雑な分子ができるのを可能にし、複雑な分子が単純な生命へと進化していった。一番初めの、全生物最終共通祖先はLUCAとされている。生物学者はまだ最初の生物がどのように誕生したかをまだ完全には説明できていない。

LUCAは生命と非生命の間にいたのかもしれない。そしてLUCAから、原核生物、光合成の発明、酸素の増加、真核生物の誕生、多細胞生物の誕生、そして様々な〇〇類というように生物の種類は広がっていった。

また、この臨界点の重要な概念として、”情報”という概念が出てくる。エネルギーは実際に変化を引き起こすが、情報は変化を導く。

生物が複雑化すると、生き残るために、より多くの情報を得るよう、変化していった。自然選択の登場だ。自然選択は動物に感覚器官を与え、生き残るための質の良い情報を生物は受け取れるようになった。

6. 人間

人間はなぜここまで他の生物圏を一変させ、ここまで広がるようになったのか?今や人間は70億人をこえ、生物圏を支配するようになっている。なぜこのようなことが起きたのか?何がそうさせているのか?

本書によると、人間を全く異質な存在にしているのは、環境に関する情報を集団で制御する能力だという。他の種のようにただ情報を集めるだけでなく、情報を生み出し、他者と共有し、活用する。

大量の情報を共有して蓄積することを可能にしたのは、言語だ。言語によって、抽象的な事柄や存在しさえしないかもしれない可能性についてもコミュニケーションを取れるようになった。こうした能力によって人間は明確に情報を共有し、知識を蓄積できるようになった。

そして次の世代が効率的にその知識を吸収し、「集合的学習」を可能にする。こうして情報蓄積を可能にすることで、人間は動植物、土壌や火などの化学物質、芸術、宗教、他者に関しての知識を構築していった。

そして知識が蓄積されることで、多くのコミュニティが、新天地に移り住んでも、その土地の環境に適応できるようになっていった。知識の蓄積が移動や、新天地の新しい環境の適応を可能にし、人類は世界へ広がっていった。

7. 農耕

農業によって人間の生活様式は一変した。農業によって狩猟最終社会を遥かに上回る人口を養えるようになり、富を蓄積することを可能にした。

今までの社会以上に大きなコミュニティができるようになると、コミュニティは新たな社会的・道徳的規範・争い事に対応するためのルール・とみの分配法など、様々な技術を必要とする。また、人が増えて交流も活発になると、集合的学習の仕組みは一段と相乗効果をますようになった。

農耕文明ができ始め、生産力が向上し始めると、作物に余剰ができ始め、富を持つものがで始めた。また、富の余剰は人の余剰を意味した。全員が農耕に関わる必要がなくなったため、兵士、哲学者、支配者など、専業が現れ、社会の新しい役割を担った。仕事の専門家が進むと、不平等も拡大した。社会が拡大するにつれ、強力な指導者も現れた。

農耕文明がどんどん進み、大きな人口を抱え、多くの余剰を生み、商業や交易のネットワークを維持し、町や都市を支えられるようになると、それは国家になっていく。

人口の増加と交易システムの拡大は、イノベーションによっても進められる。例えば、貨幣の利用や、船や道路の整備などで交換を加速させた。集合的加速や教育や哲学や科学の思想、またそれぞれの国家の宗教の神学理論を形作った。

そして世界中に国家ができ始め、世界が繋がり始めるのは時間の問題となった。1492年にはコロンブス率いる遠征隊が海を横断したことから端を発し、人間の歴史上初めて、情報、アイデア、物、人間、技術、宗教、疫病までが交換されるようになる。

世界がつながることで、商人は商品を国から国へ移動させることで、「価格勾配」を利用して、富を生み出した。こうした動きは現代の資本主義の基礎となっていく。

国がつながることで、ヨーロッパの航海者は古代の文章には記述されていなかった新たな国、動植物、民族、国家、宗教などに出会し、今までの古来の科学、宗教、聖書でさえ疑問視せざるを得ない状況を生み出した。大量の情報はヨーロッパの科学を刺激することになる。

エネルギー面でも大きな進歩を作り続けた。農耕によるエネルギーの利用は人類にとっては大きなイノベーションだったが、1800年にはすでに農業に適した土地の大半ではすでに農業が行われ、利用可能なエネルギーは全て消費し尽くしているような状況に見えた。新たなエネルギー源を見つけなければいけないという圧力が化石燃料革命やその他のエネルギーの活用の模索を呼び、石炭、石油、天然ガス、電気などの利用につながるようになった。

この本を読んで

この世界とは、自分とはなんぞやという根本的な問題の全体像を掴むのはとても難しい。そもそもビッグバンの前はなんだったのか?全てのエネルギーと物質が詰まった物体がなぜ、どのようにして出現したか?というところは答えられないし、マルチバースの概念があるように、宇宙は一つだけとも限らない。現代の物理法則はどこからきたのかもよくわからない。

それに生命の部分でも、目的に沿って動いているように見えるとあったが、なぜ目的が存在するのか?目的はどこからきたのか?というのは謎だ。しかし138億年前に生まれた物質とエネルギーの一部として、動いている一部だと考えると、また違った景色が見える。

また全体像を見ることで、今後自分が読書する時など、この全体像のどこに当てはまるのかというフレームワークで考えられるので、知識と知識がつながっていきやすいような気がする。何かを学習するときは全体像を把握するのは効果的ともあるので、何かを学ぶたび、このビッグヒストリーとつなげていくと良いのではないかと思う。

-Books, Nature

Copyright© Snow Notes , 2020 All Rights Reserved.