平標山バックカントリー

谷川連邦の一つである平標山で春のバックカントリーを楽しむ。

いつも夏山登山ではお世話になっていた平標山。夏に見慣れた景色とは違う様子が広がっていた。

平標山は群馬県みなかみ町と、新潟県の湯沢町にまたがる山だ。谷川連峰西端の高峰であり、平標山を中心に考えると、南へは平標山の家を過ぎてから三国山、三国峠と続き、北へは平標山から千ノ倉山、万太郎山、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳、清水峠と繋がっていく。

この平標山を含む谷川連邦は、群馬県と新潟県の間に位置する上越国境と呼ばれる場所にあるが、群馬は上野国(上州)、新潟は越後国と呼ばれる時代からこの国境を人々は越えていた。上越国境を超える道には古来より主に「清水峠ルート」と「三国峠ルート」があり、「清水峠ルート」には上杉謙信を始めとする越後の戦国大名、上杉氏の行軍の際に使用された十五里尾根があり、謙信尾根とも呼ばれた。江戸時代には、「三国峠ルート」である三国街道が整備され、江戸幕府にとっては物資の流通路として越後からは米や酒が中心として運ばれ、佐渡金山を管理する佐渡奉行の往来、北国大名の参勤交代としても使われたそうだ。(1)

そんな谷川連邦の一部として位置する平標山。ハイクしていくと早速ぽつんぽつんと見える白い白樺の木。フィンランドのような雰囲気を感じさせる。さらに登っていくとところどころ目につくのはまっすぐではなく、斜めに曲がりながらも成長していく木々たち。雪が重いエリアでは雪の重みで木の根元が曲がってしまうと聞いたことがある。これらの木々は雪の重さに耐え、厳しい冬を乗り越えてきた証拠だ。力強く生き抜いてきた木々は、遠くから見てもその存在感が際立つ。





ある高さまで上がると徐々に背の高い木々の姿は消えていき、今度は背の低い高山植物が取って代わっていく。ここから視界も開け、気持ち良い景色が広がる。





平標山頂から仙ノ倉山への美しい稜線を歩くのが夏山登山ではとても楽しみであるのだが、冬は白銀の美しい景色が広がる。この平標山は「ぐんま県境稜線トレイル」の一部でもあり、みなかみ町の土合から嬬恋村の鳥居峠までつなぐ全長約100Kmのロングトレイルなのだそうだ。





この時期はパウダーは望めないが代わりに待っていたのはここちよい春のザラメ雪。平標山の名前の由来は山頂が平らで、道標を建てたことから付けられたそうだが、広々とした景色が広がり、気持ち良いターンを堪能できた。






参照:
(1) 歴史の道調査報告書 三国街道ー群馬県教育委員会


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