クロスカントリースキーでフィンランドの自然を巡る:フィンランド旅①

フィンランドでは老若男女問わずクロスカントリースキーが親しまれている。日本のレジャーで主流であるアルペンスキーとは一味違うクロスカントリースキーを体験した

今回のフィンランド旅の目的の一つであるクロスカントリースキー。日本で「スキー」と聞けばアルペンスキーがメインで、スキー場で滑るイメージが強いが、北欧フィンランドでは少し事情が異なるようだ。異なるスキーの楽しみ方を見たくて訪れた。

元々スキーの歴史を遡ると、スキーの起源は5000年または6000年以前とも言われ、雪の移動で使われてきた。移動としてのスキーという意味では、クロスカントリースキーは起源としてのスキーの形を受け継いでいるのかもしれない。1888年にノルウェーのフリチョフ・ナンセンがグリーンランド踏破に成功した時にも、スキーを使って移動したとされる。「移動としてのスキー」から「スポーツとしてのスキー」として火がついたのは1870年代から1880年代にかけてで、1867年のノルウェーのクリスチャニア(現在のオスロ)では最初の全国クロスカントリースキーレースが開催された。

ノルウェーから火がついたスポーツとしてのクロスカントリースキーだが、フィンランドでも盛んで、クロスカントリースキーはフィンランドの国技であり、オリンピックでもフィンランドはノルディックスキーの強豪国として現在でも知られている。クロスカントリースキーの強豪国として有名なフィンランドだが、レジャーとしての側面もあり、多くの人々に親しまれている。冬には「スキー休暇(hiihtoloma)」として知られる休暇もあり、学校の生徒たちがスキーの練習をする機会も得る。起源は 1920 年代にまで遡るそうで歴史もある。私が訪れた期間はちょうどこのスキー休暇であったようで多くの子供たちが楽しんでいた。


子供達もクロスカントリースキーを楽しむ


今回私が訪れた場所は、「keskuspuistoon」という国立公園だ。国立公園の森の中にクロスカントリースキーのコースができており、レンタルショップも近くにあったため、手ぶらでいってスキーが楽しめるようになっていた。今回は最寄のレンタルショップでスキー靴、スキー板、ストックのレンタル。アルペンスキーに比べると遥かに軽量で身軽だ。


最寄のレンタルショップ。国立公園のすぐ横にある。


板とブーツは「FISCHER」、ストックは「ONE/WAY」。質の良いギアを借りることができる。


コースには基本的にクロスカントリースキーの跡が二列。追越車線みたいなものだろうか?慣れてる人はかなり早いスピードでくるのでその時は追い抜いてもらう。コースはかなり広く、途中で看板も何ヶ所かあり、場所を確認しながら進んでいく。広々としたコースから、林間コースまで様々なコースを冒険する。マラソンのような長距離を走るような快感もあれば、下りになれば滑り降りる爽快感も味わえる。これは楽しい!


二列用意されているコース


途中マップを確認しながら進んでいく



橋の下もコースになっている。



クロスカントリースキーコースならではのユニークな標識も設置されており、その中にはスキーコースの方向を指す標識や歩行者道路との交差点に関するものもあった。歩行者道路との交差点では滑りやすさを防ぐために砂利が敷かれているのだが、横からクロスカントリースキーでスピードを出すと転倒する可能性があることを注意する標識も設置されていた。



歩行者道路との交差点。歩行者道路は滑らないように砂利が敷いてあるため、横からクロカンでスピードを出すとつんのめる可能性がある。


森の探索で印象的だったのが、白樺の木だ。フィンランドのホテルやアウトドアショップを訪れると白樺の木を使った店内の装飾が見られることがあるが、白樺の木はフィンランドの象徴である。実際、白樺は1988年に国民投票によって「国樹」として選出された。フィンランド人の日常生活においても白樺の木は不可欠な存在である。特に、サウナと白樺との関係は深く、切り離せない。サウナで使用される欠かせないアイテムの一つが、「ヴィヒタ(vihta)」または「ヴァスタ(vasta)」と呼ばれる白樺の葉束である。これらの葉束は、サウナ内で身体を叩くために使用される。また、白樺の薪はサウナストーブを温めるために最適な燃料であり、広く利用されている。




国立公園を探索していると、面白そうな小屋を発見。中に入ってみると、シンプルに椅子と中央に暖炉があり、そこで薪をたいてソーセージを焼いてホットドッグを作る家族。休憩小屋のようだが、火があると一段と心安らぐ空間に変化する。休憩している家族に聞いてみると、薪は町が用意してくれるそうで、自由に使って燃やしていいらしい。よくみると椅子の下に薪が用意されていた。





フィンランドの冬の楽しみであるクロスカントリースキーは、自然とのつながりを感じる素晴らしい方法だ。寒さを楽しみ、雪の中を滑る喜びを味わいながら、美しい自然を堪能することができた。

振り返ってみれば日本でもスキー授業のある雪国の小学校でもアルペンとクロスカントリーどちらも授業があり、私も小学生の時に授業として受けてはいたものの、きついという印象しかなかった。小学校で受けて以来クロスカントリースキーとの縁は無くなってしまったが今振り返ってみると勿体無いことをしたなぁと思う。日本にも豊富な雪や素晴らしい自然があるし、クロスカントリーのコースも沢山あるのだ。日本のクロスカントリーにももっと目を向けてみようと感じた良い機会となった。


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