フリーライドスキー・スノーボードコンテストの最高峰、フリーライドワールドツアー(FWT / Freeride World Tour)とは

スキーヤー・スノーボーダーの中には、非圧雪・整備されていない所の滑走・ツリーランなどが好きという人は少なくないだろう。私もその仲間の1人だ。近年バックカントリーや非圧雪の滑走が人気になり、「フリーライドスキー」と呼ばれる自由なスキースタイルが確立されてきている。急な斜面をアタックすることに情熱を燃やしたスキー・スノーボードコミュニティから始まったこの動きは、今や世界中で開催される「フリーライドワールドツアー」へとつながっていく。フリーライドワールドツアーが開催されるようになり、世界各地でトッププレイヤーが競い合い、エキサイティングな滑走とスキルを披露する場となっている。フリーライドワールドツアーの存在は、フリーライドスキー・スノーボードの成長と進化を象徴するものであり、このスポーツの人気と影響力はますます高まっていると言えるだろう。

ここではそんなフリーライドカルチャーの形成に大きく影響を与えるフリーライドワールドツアーとその歴史についてみていきたい。


フリーライドワールドツアーとは

フリーライドワールドツアー(Freeride World Tour)とは、スキー場のような整備されているコースではなく、非圧雪で整備されていない、自然のままの地形を楽しむ「フリーライド」の世界大会だ。 1996 年の冬に発足したヴェルビエ エクストリーム( the Verbier Extreme)というスノーボードコンテストの形から始まったこの大会は、現在では予選なども合わせて180以上のイベントが開催されている。日本でもFWTが白馬で開催され、予選としての位置付けである、Freeride World Tour Qualifierも北海道、新潟、白馬にあるスキー場で開催されている。

ABOUT - PHILOSOPHYにも紹介されている通り、スラロームポールを置いたり、人工的なジャンプやハーフパイプなどを構築するのではなく、フリーライド コンテストは 100%自然な環境で行い、 頂上にスタートゲート、麓にゴールゲートのみあるというシンプルな状況下で競うことを強調している。採点基準はラインの難易度、コントロール、流動性、ジャンプ、テクニックの5つのポイントから採点される。

以下はフリーライドワールドツアーの紹介動画だ。



FWTの傘下に置かれるすべての大会は、4階層のピラミッド構造になっており、すべての予選大会から世界大会へと進めるような仕組みとなっている。「FWT Junior」は18歳未満のための大会、18歳以上のライダーは「FWT Qualifier」に出場し、そこで良い成績を残したベストアスリートは「FWT Challenger」に進む。「FWT Challenger」では、「FWT Qualifier」で成績の良かったライダーと、前シーズンの「Freeride World Tour」で翌年のシード枠に入らなかった選手がトップの大会である「Freeride World Tour」の参加枠をかけて競い合う。そして世界ランキングトップが競い合うのが「Freeride World Tour」となる。



フリーライドの歴史・コミュニティが生み出したコンテストという形

現在の形で広まっているフリーライドのコンテストは、長い歴史をたどってきた。その道のりは急斜面を滑り降り、スキーの限界を突破する「エクストリームスキー」による人間の冒険心・探究心によって築かれてきた。

ABOUT - FREERIDE HISTORYによれば、1930-40年代にはエミール・アレがフランスシャモニー周辺の急斜面を滑走し、1960年代にはシルヴァン・ソーダン(Sylvain Saudan)、ブルーノ・グーヴィ(Bruno Gouvy)、ジャン=マルク・ボワヴァン(Jean Marc Boivin)をはじめとするメンバーが山岳地帯の急斜面での滑走を行い、スキーのライディングの限界を押し広げてきた。

アメリカでも、ビル・ブリッグス (Bill Briggs)やスティーブ・マッキニー(Steve McKinney)といったエクストリームスキーの先駆者達がロッキー山脈、ワサッチ山脈、シエラネバダ山脈の急斜面での滑走にチャレンジし、また、1980年代には映画製作者のグレッグ・スタンプ(Greg Stump)によるスキーの古典となる『Blizzard』という映像作品のリリースされるなど、世界中でスキーの限界と表現は常に押し広げられてきた。

こうして形成されたコミュニティの形成は1991年にアラスカのワサッチ山脈で開催された初のビッグマウンテンフリーライドコンテスト「ワールドエクストリームスキーチャンピオンシップ (World Extreme Ski Championships (WESC))」へと繋がる。また、1990 年代初頭のスノーボーダーもアラスカで輝ける独自のイベントを開催しており、 1992 年にワールド エクストリーム スノーボード チャンピオンシップとしてスタートしていた。急な斜面への挑戦や未知のスキー・スノーボードへの挑戦は、コンテストとして競い合う形になっていく。

「フリーライドワールドツアー」の起源はというと、1996 年の冬に発足したヴェルビエ エクストリーム(The verbier extreme)。この大会はもともとはスノーボードコンテストだったが、2004 年に世界トップクラスのスキーヤー10 人が参加するよう招待され、現在の形に至っている。





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