鍋倉山のブナ林を滑る

新潟県と長野県の県境に位置し、信越トレイルとしても有名な鍋倉山のブナ林を滑る。

十日町市から日帰りでバックカントリーができる場所を探して、訪れた鍋倉山。鍋倉山は新潟県と長野県の県境に位置し、関田山脈の最高峰だ。国有林も広がり、関田山脈の稜線は全長110kmに及ぶ信越トレイルとしても有名な場所である。歴史的に見ても、関田山脈は信州と越後を結ぶ重要な交通路であり、かつては親鸞聖人の布教の道として、戦国時代には上杉謙信が川中島の戦いに峠を越えて出兵した場所として伝えられているらしい。(1)

訪れた時は気温も高く、快適な登山となった。雪は例年よりも少なく、春の足音が近づいているような雰囲気の中、山頂を目指すこととなった。




既にところどころ地面がみえ、川が流れるのも見える。


鍋倉山で目を見張るのはそこに広がるブナ林だ。新潟県十日町市にも「美人林」のように有名なブナ林があったり、信越トレイルの一部である天水山へ向かう途中の天水越にも見事なブナ林が広がっていたが、天水山から関田山脈まで、ブナ林のエリアであるらしい。登山途中からブナ林が急に広がり、景色が変わったのを覚えている。

鍋倉山はブナ林で良く知られる場所であるが、過去には伐採計画が立ち上がったこともあるそうだ。1986年9月には鍋倉山の伐採計画が長野営林局飯山宮林署から発表されたが、地元住民の反対運動により中止。鍋倉山を中心としたリゾート計画もでき、1972年に民間企業がスキー場開発のための調査を始めたが、1977年には景気回復の遅れを理由に撤退。1990年には飯山市と民間企業によるスキー場開発計画が浮上したが、1992年のバブル崩壊により撤退という歴史もある。(2) 過去にはこうした経済の推進か環境保護で様々な人の思いぶつかり合った、そんな背景のある場所でもあった。

そんなブナ林を黙々と登っていく。多くの人に愛されている山なのだろう。既に多くの人が滑る跡も見え、その跡が早く滑りたい!という気を駆り立てさせる。

ブナ林を登っていく。






豪雪地帯におけるブナ林は景観だけでなく、その土地の農作物にも大きな影響を及ぼしている。ブナの木には貯水力があり、たくさん積もった雪が春に解けると、ブナで覆われた鍋倉山はそ雪解け水を貯水し、田植えの時期が来ると村々の水田を潤す。長年、麓の村に住み稲を作ってきた人々の間には、「ブナ一本で一反歩(10アール)の田の水を蓄える」という言葉が伝わっているそうだ。(2)

ブナ林の中は木々の間隔がちょうど良く、ツリーランとしてもかなり滑りやすいコースになっていた。


Rider : Amigo


Rider : Kanta


Rider : Koki


無事に下まで滑り降り、終了。別の季節に上りに来るのも面白そうだ。


参照:
(1) 信越トレイル - トレイル概要 - 
(2) 次世代に残したいブナの森

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