食品添加物の歴史

異なる視点でみる暮らし

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食品添加物はこれまでどのように使われてきたのだろうか。


食品添加物の定義

歴史を遡る前に、そもそも食品添加物とは何を指すのだろうか?食品衛生法第4条の定義によると、以下のように書かれている。


添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。

食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)


食品添加物の役割

現在の食品添加物の役割としては、以下のような役割がある。(1)

  1. 食品の製造または加工する(固めるなど)
  2. 品質・保存性を保つ
  3. 食品の嗜好性(色、香り、味、食感など)を向上させる
  4. 栄養価を強化する


食品加工の歴史

保存性の向上や、色、味、香りなどを高めるための食品の加工は昔から行われてきた。


食品加工の事例

一般社団法人 日本食品添加物協会」では歴史上の食品加工の例として以下の事例を挙げている:

  • 紀元前3000年頃には古代バビロニアで発酵
  • 弥生・古墳時代にはわさびや山椒で香りをつける
  • 奈良・平安時代にはクチナシ・ベニバナで色付けがされる
  • 室町時代には発酵によって保存のきく醤を作成

こうしてみると昔から食品の加工のために様々な手段が使われてきた。


化学合成添加物の始まり

食品添加物を考える」によれば、化学合成添加物が初めてできたのは1851年。酢酸とアルコールから、果実香料として酢酸エチルエステルが合成された。その後も1856年にタール色素、1859年に膨張剤が作られたり、1912年にはビタミンB1、A、C、D、Eなど相次いで発見されたことから、ビタミン剤が化学合成されていった。


食品衛生法の制定

1947年には「食品衛生法」が制定され、人の健康を外することのない化学的合成品として、食品添加物が指定されるようになった。(2) この食品衛生法で初めて化学的合成品が62品目指定され、その後も必要に応じて指定される数が増えていった。(2)


化学合成添加物による被害

食品衛生法が確立しなかった時代において、毒性の強い添加物が食品に使われることもあり、食品の添加物が原因による急性中毒が続発した。(2)

また、法律制定後も添加物が原因となって様々な問題が起きた。下記はその一例になる。(3)(4)(5)

  • 森永ヒ素ミルク事件(1955)
  • ズルチンによる食中毒(1964)
  • 発ガン性の疑いから人工甘味料チクロの使用禁止(1969年)
  • 発ガン性の疑いから豆腐や魚肉ソーセージ、麺類の殺菌剤として使われてきたAF-2の使用禁止(1974年)


科学の発展による安全性の向上

その後、食品添加物の安全性基準は学問の進歩と共に、安全性を評価するための試験が厳重になっていく。(2) 2003年には⾷品安全基本法が制定され、⾷品安全⾏政に「リスク分析」の考え⽅が導⼊され、食品添加物のリスクを科学的に評価する体制が整えられている。(1)


リスク分析


①リスク評価
食品安全委員会が行う
どのくらい⾷べても安全か調べて、決める。国際的にはJECFAが実施

②リスク管理
厚生労働省、農林水産省および消費者庁などが行う
食べても安全なようにルールを決めて、監視する

③リスクコミュニケーション
食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省および消費者庁などの⾏政機関、
消費者、事業者など関係者全員で情報を共有、意⾒を交換し、納得できるように話合う

食品添加物の基礎知識


結局、食品添加物は安全なのか?

食品添加物はどのような歴史があり、どのように変わってきているのかを自分なりに調べるとっかかりとして、この記事を書いてみた。今後も科学が進歩していくにつれて、どの食品添加物が安全で、何が危険なのか、基準もどんどん変わっていくかもしれない。

この先社会において食品添加物の使われ方がどのように変わっていくのかは消費者によっても委ねられている。自分が食品添加物の入った食品を買うこと、または無添加の食品を買うことで自分の健康や社会にどのような影響があるのかということをしっかり理解していきたい。


参照:
(1) 食品添加物の基礎知識
(2) 食品添加物30年の変遷
(3)市販食品が添加物まみれになるまでの歴史。なぜ食品とは言えないものがスーパーで販売されるようになったのか。
(4) 衛研ニュース/食品添加物のはなし
(5) ズルチンによる食中毒事件(昭和41年7月)

Photo:
by Dewang Gupta on Unsplash


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