発酵調味料の種類と原材料、作り方についてみる

料理には調味料が欠かさないが、調味料の中には微生物の発酵の力を利用して作られた発酵調味料がある。日本の発酵調味料は和食文化に不可欠な存在だ。発酵調味料の一覧と日本を代表する発酵調味料のそれぞれの作り方を見ていく。


そもそも発酵調味料とは

発酵して、人間にとって良い変化をした調味料のこと。逆に人間にとって悪い変化をするとそれは腐敗になる。発酵に関しては下記に詳しく書いた。


発酵とは何か?簡単に分かりやすく解説

世界中で食べられている発酵食品。 日本でも醤油、味噌、みりん、日本酒、漬物など、発酵食品は身近だが、発酵とはそもそもなんなのだろう? ここでは発酵とは何かを解説する。 発酵とは? 発酵とは、微生物の活動によって食べ物が人 ...

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発酵調味料の種類

日本で代表的な発酵調味料の一覧としては以下のようなものがある。

  • 醤油
  • 味噌
  • 味醂

また世界に目を向けると、さらに多様な発酵調味料があり、中には日本にも身近な発酵調味料も存在する。

  • 辣醤(ラージャン)
  • 豆板醤(トウバンジャン)
  • 甜麺醤(テンメンジャン)
  • 蝦醤(シャージャン)
  • 豆豉(トウチ)
  • コチュジャン
  • 魚醤(ナンプラー)
  • タバスコ


その他の調味料に関しては以下にまとめた。


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発酵調味料の原材料と製造方法

それぞれ日本の発酵調味料の原材料には何が使われ、どのように作っているのだろうか。一つづつ見ていく。


醤油

醤油の作り方は以下の通り:

  1. 蒸した大豆と炒った小麦に麹菌を混ぜて醤油麹をつくる
  2. 塩水を醤油麹に加える
  3. 樽に仕込む
  4. 半年ー1年発酵・熟成させ、諸味を作る
  5. 加熱・濾過する


醤油の制作ステップ


醤油の種類には、濃口、薄口、溜まり醤油など、様々な種類があり、大豆と小麦の配分などで種類が決まっていく。


名前 原材料 特に使われる料理 備考
薄口醤油 大豆、小麦、塩、麹 - -
薄塩醤油 大豆、小麦、塩、麹 - -
燻製醤油 - - 醤油を燻製にする
濃口醤油 大豆、小麦、塩、麹 - -
刺身醤油 醤油、昆布、カツオの出汁など - 醤油にさらに色々加えて旨味を強調したもの。刺身醤油に明確な定義はなく、会社による。醤油加工品として分類される
白だし 昆布や鰹節などでとった出汁、薄口醤油、みりん、砂糖など お吸い物や茶碗蒸しなど -
だし醤油 昆布や鰹節などでとった出汁、醤油、みりん、砂糖など - -
たまり醤油 大豆、小麦、塩、麹 - -
生醤油 大豆、小麦、塩、麹 - 普通の醤油と違い、火入をしていない
ナンプラー 小魚、塩 - -


味噌

味噌の作り方は以下の通り:

  1. 蒸した米に麹菌をつけて米麹をつくる
  2. 蒸した大豆をつぶし、米麹と塩を混ぜ合わせて仕込む
  3. 発酵させる


米味噌の制作ステップ


上記の作り方では米味噌の例を書いたが、味噌の種類は色の分類と原料の分類で分けることができる。

  • 色:赤味噌・白味噌
  • 原料:米味噌・麦味噌・豆味噌

この基本的な味噌の分け方に、さらに加工された味噌の種類が追加される。


名前 原材料 特に特に使われる料理 備考
赤味噌 米味噌・麦味噌・豆味噌・調合味噌により異なる 赤味噌と白味噌の違いは熟成期間や作り方。
合わせ味噌 2種類以上の味噌 2種類以上の味噌を混ぜ合わせたもの
からし酢味噌 からし・酢・みそ・砂糖など 和え物など
米味噌 米、大豆、塩
白味噌 米味噌・麦味噌・豆味噌・調合味噌により異なる 赤味噌と白味噌の違いは熟成期間や作り方。
ニンニク味噌 ニンニク、味噌、砂糖、生姜など おにぎり、焼肉など
はちみつ味噌 ハチミツ、味噌
豆味噌 大豆、塩
味噌ディップ - 野菜スティックなど レシピは様々
味噌パウダー 米味噌・麦味噌・豆味噌・調合味噌により異なる 和スイーツなど
麦味噌 麦、大豆、塩
ゆず味噌 ゆず、味噌



お酢

お酢の作り方は以下の通り。

  1. 蒸した米に種麹と水を加える
  2. できた醪に酵母を加えてアルコール発酵させる
  3. この時点でお酒ができ上がる
  4. できあがったお酒に種酢と酢酸菌を加える
  5. お酒のアルコール成分がお酢の成分である酢酸に変化する
  6. 発酵が終わったらねかせて熟成させる


お酢の制作ステップ


お酢は麹や酵母の力ででき上がったお酒に酢酸菌が加わることで、酢酸発酵されてでき上がる。上記は米酢の作り方についてをまとめたが、原料によっては葡萄からはワインビネガーが作れるし、りんごからはりんご酢ができる。多種多様な酢が存在するが、農林水産省の食酢品質表示基準には酢には分類のための基準が作られている。


食酢品質表示基準


酢の種類を以下にまとめた。

名前 原材料 特に使われる料理 備考
梅酢 梅、塩 - 「食酢」とは別に分類される
黒酢 精米、水、麹菌、酵母菌、酢酸菌 - 黒酢と玄米酢の違いは玄米酢の色が褐色になれば、黒酢
玄米酢 精米、水、麹菌、酵母菌、酢酸菌 - -
米酢 精米、水、麹菌、酵母菌、酢酸菌 お寿司や酢の物など日本料理 -
三杯酢 酢、醤油、砂糖 - 「加工酢」に分類される
すし酢 米酢、砂糖、塩 酢飯 「加工酢」に分類される
バルサミコ酢 ぶどう果汁 - ワインビネガーと違ってワイン酵母や酢酸菌を使わず、熟成させる
ポン酢 柑橘類果汁(レモン・ライム、ユズ、カボスなど)、醤油、酢、鰹節、昆布、砂糖、醤油 - 「加工酢」に分類される
みかん酢 みかん果汁 - -
りんご酢 りんご果汁 - -
ワインビネガー ブドウ、ワイン酵母、酢酸菌 - -



味醂

みりんの作り方は以下の通り:

  1. 蒸したお米に種麹を加えて米麹を作る
  2. 米麹、蒸したもち米、焼酎(または醸造用アルコール)を加える
  3. 糖化させる
  4. 醪ができたら絞ってみりんを抽出する


味醂の制作ステップ


みりんは料理酒として分類される。料理酒の種類としては他に以下のようなものがある。


名前 原材料
赤ワイン ブドウの果汁
シェリー酒 ブドウの果汁
紹興酒 もち米、小麦、麦麹、酒薬
白ワイン ブドウの果汁
みりん もち米、米麹、アルコール
料理酒 米、米麹、食塩


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