稲作で必要な肥料には何があるのか、稲に必要な栄養分や種類、肥料を与えるタイミングまでをここで整理する。
稲作に必要な栄養分
稲作に必要な栄養素として、主に以下の五つが挙げられる。
- 窒素(N)
- リン酸(P)
- カリウム(K)
- マグネシウム(Mg)
- カルシウム(Ca)

順にみていく。
窒素(N)
窒素の肥料は「葉肥」とも呼ばれ、主に葉に影響する成分。作物の生育と収穫量に大きく関わる。窒素が不足すると、下葉が黄色くなったり、生育が衰えて葉が小さくなったりする。(1)
リン酸 (P)
リン酸の肥料は「花肥」や「実肥」とも呼ばれ、植物全体の生育や、枝分かれ、根の伸長をなどを促進させる。(1) 日本の土壌はリン酸が足りないことが多いため、積極的に施される。(2)
カリウム (K)
カリウムの肥料は「根肥」とも呼ばれ、主に根の発育を促進する。根の発育の他にも、暑さ・寒さ・病気に対して抵抗力を高める働きがある。(1)
マグネシウム (Mg)
マグネシウムは作物の栄養となり、植物の光合成に必要な「葉緑素」の主成分。葉緑素も少なくなると、葉脈間の緑色が薄くなったり、白くなったりして変色する。(白化、クロロシス)。(3)
カルシウム (Ca)
細胞壁を作り、根の生育を促進させる。(4)
肥料の種類
化学肥料と有機肥料がある。以下に比較を作成した。
比較 | 有機肥料 | 化学肥料 |
---|---|---|
原料 | 植物性または動物性の有機物 | 空気中の窒素や鉱物などの無機物 |
即効性と持続性 | 全体的に即効性は低く持続性が高い | 全体的に即効性が高く、持続性は低い |
土壌改良効果 | 利用することで土の中の微生物を繁殖させ、土壌が改良される | 有機肥料のような土壌改良効果はない |
匂いやガス | 過程でガスが発生したり、においが強かったりする物もある | 臭いやガスが発生しない |
大量生産 | 原材料に限りがあるために大量生産は難しく、その分価格は高め | 工場で大量生産が可能なため、安定した品質のものが安価に手に入る |
量の調整 | 微生物の働きによって分解状況が変わるので、量の調整が難しい | 過剰使用すると「肥料やけ」(根が障害を受け、しおれたり枯れたりすること)が起こりやすい |
具体例 | 油かす、魚カス粉末、米ぬか、家畜の糞、草木灰など | 石灰窒素、硫安、塩化カリウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムなど |
「有機肥料とは? 化学肥料との違いについて」を元に作成
肥料を与えるタイミング
肥料は田植えの前にまく基肥と、田植え後に追加でまく追肥、出穂直前に散布する穂肥がある。

田植え前に撒く「基肥」
基肥は耕起と代かきのタイミングで行う。
田植え後に追加で撒く「追肥」
生育不良が見られる場合や肥料が不足している場合は、追肥を行う。
出穂直前に散布する「穂肥」
穂の籾を充実させるために、出穂直前に撒く。
肥料の与えすぎと不足による稲の影響
肥料を与えすぎると、葉が生い茂りすぎて、下の葉に日光が当たらなくなり、お米を作る力が落ちたり、草丈が伸びすぎて倒れやすくなる可能性がある。逆に肥料が不足している場合は、肥料切れになった稲の葉の先から、色が抜けていく。この場合は肥料を追加する必要がある。(5)
(1)「肥料の三要素」チッ素、リン酸、カリの働きは? (2)元肥と追肥とは?違いは?肥料の種類を水稲を例に解説! (3)光合成に大事な要素!マグネシウムの肥料の特徴と使い方 (4)カルシウム特殊肥料の『カルゲン』で、稲の体質強化と食味値アップを (5)水と肥料によるコントロール