雪の結晶の種類:「グローバル分類」からみる雪の結晶121種類

雪の結晶の種類は「グローバル分類」という分類のもと、121種類に分けられているが、どのような種類があるのだろうか。


科学の世界で使われる「グローバル分類」

科学の世界では、現在雪の結晶の分類において、「グローバル分類」という分類があり、8大分類、39中分類、121小分類に分けられている。この分類の作成は「雪結晶の新しい分類表を作る会」が携わっており、グローバル分類の詳細については、分類の歴史や経緯なども含め、日本雪氷学会誌の「雪氷」74巻3号にてみることができる。



雪の結晶の形は何で決まるのか

現在121種類もの種類がある雪の結晶の形は、「水蒸気の量」と「気温」によって形が決まるとされる。(2) 下記は「中谷ダイヤグラム」と呼ばれる図で、気温と水蒸気の関係によってどのような結晶が生まれるかを示している。


中谷ダイヤグラムの概念図(小林禎作・古川義純 1991)を元に作成


雪の結晶の成長は六角形の氷の氷晶から始まる。ここでの雪の結晶の素となる形が、これからみるグローバル分類の大項目G分類である「初期結晶群(Germ of ice crystal group)」としてまとめられている。ここから縦軸、図のc軸の方に伸びるか、横軸、a軸に伸びるかで形が変わって行く。


北海道大学低温科学研究所fig2 を改変し、snownotes作成


雪結晶の種類の特徴

「グローバル分類」雪結晶の分類を大まかに見ていくと、まずは大分類として下記のように8種類の項目に分かれていることが分かる。

  1. C:柱状結晶群
  2. P:板状結晶群
  3. CP:柱状・板状結晶群
  4. A:付着・併合結晶群
  5. R:雲粒付結晶群
  6. G:初期結晶群
  7. I:不定型群
  8. H:その他の個体降水群


C:柱状結晶群 (Column crystal group)

C : 柱状結晶群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


記号のCはColumn crystalのCを意味しており、この分類の特徴としては縦軸に伸びて柱・針状に縦に伸びた結晶達が分類されている。このCの項目に、4種類の中分類があり、さらにその下に細かく15種類の小分類がある。

  • 針状結晶 (小分類:3種類)
  • 鞘状結晶(小分類:3種類)
  • 角柱状結晶(小分類:5種類)
  • 砲弾状結晶(小分類:4種類)


P:板状結晶群(Plane crystal group)

P:板状結晶群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


PはPlane crystalのPを意味しており、ここでは横軸に板状に伸びた結晶達が分類されている。シンプルな板状の形もあれば、先が複雑に分かれる板状の結晶もあることが分かる。中分類としては以下の通り:

  1. 各板状結晶(小分類:3種類)
  2. 扇状結晶(小分類:2種類)
  3. 樹枝状結晶(小分類 : 3種類)
  4. 複合板状結晶(小分類 : 7種類)
  5. 分離・多重六花状結晶(小分類 : 6種類)
  6. 立体状結晶(小分類 : 4種類)
  7. 放射状結晶(小分類 : 2種類)
  8. 非対称板状結晶(小分類 : 2種類)


CP:柱状・板状結晶群(Combination of column and plane crystals group)

CP:柱状・板状結晶群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


こちらはC(Column)とP(Plane)のコンビネーションによって分類されているグループ。この分類では柱状と板状が複雑に絡み合ってできた結晶の分野になる。中分類として9種類の結晶がある。

  • 鼓状結晶(小分類:3種類)
  • 砲弾・板状結晶(小分類:4種類)
  • 柱状・板状結晶 (小分類:6種類)
  • 交差角板状結晶 (小分類:3種類)
  • 柱状・板状の不規則結晶 (小分類:1種類)
  • 骸晶状結晶 (小分類:8種類)
  • 御弊状結晶 (小分類:7種類)
  • 矛先状結晶 (小分類:4種類)
  • 鴎状結晶 (小分類:5種類)


A:付着・併合結晶群(Aggregation of snow crystals group)

A:付着・併合結晶群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成

AはAggregation (集合)を意味している。このグループでは中分類は以下の通り:

  1. 柱状結晶の併合(小分類:1種類)
  2. 板状結晶の併合(小分類:1種類)
  3. 柱状・板状結晶の併合(小分類:1種類)


R:雲粒付結晶群(Rimed snow crystal group)

R:雲粒付結晶群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


RはRimed snow crystalのRを意味している。日本海側は北西の季節風によって雲粒付の雪が多く、冬期間に最も頻繁に降るのは雲粒付結晶なのだという。 (1)

  1. 雲粒付結晶(小分類:4種類)
  2. 濃密雲粒付結晶(小分類:4種類)
  3. 霰状雪(小分類:3種類)
  4. 霰(小分類:3種類)


G:初期結晶群(Germ of ice crystal group)

G:初期結晶群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


GはGerm of ice crystal groupの頭文字のGを使用し、GはGerm(胚、芽の意味)を持つ。氷晶や、初期氷晶と言われる雪の結晶の素をまとめたグループとしてまとめられている。(1)

  1. 柱状氷晶(小分類:2種類)
  2. 板状氷晶 (小分類:3種類)
  3. 多面体氷晶 (小分類:2種類)
  4. 多結晶氷晶 (小分類:3種類)


I : 不定形群 (Irregular snow particle group)

I:不定形群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


IはIrregularのIを意味する。この分野では積雪の表面から風で巻き上げられたものや風雪で破壊されたものが多い。(1)

  1. 氷粒 (小分類:1種類)
  2. 雲粒付雪粒 (小分類:1種類)
  3. 結晶破片 (小分類:1種類)


H:その他の個体降水群(Other solid hydrometeor group)

H:その他の個体降水群 / 「雪結晶のグローバル分類」の「図. 雪結晶グローバル分類の模式図と分類記号」より作成


上記の分類以外に当てはまる分類をHの分類に当てはめている。

  1. 凍結降水 (小分類:3種類)
  2. 霙 (小分類:1種類)
  3. 凍雨 (小分類:1種類)
  4. 雹 (小分類:1種類)


雪結晶121種類の写真とそれぞれの小項目の特徴

小項目を含む雪の結晶の写真やそれぞれの小項目の特徴は日本雪氷学会誌の「雪氷」よりみることができる。気になる方は下記の論文からチェックしてみてほしい。

リンク:日本雪氷学会「中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類」






参照:
(1) 中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類 -グローバル分類-
(2) 富山県  / 雪の結晶

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