雪とは:降雪、雪の結晶、積雪からみえる「雪とは何か」

雪とは何だろう。日本は国土の半分が豪雪地帯として指定され、雪と共存して生活している地域も多い。ここでは降雪、雪の結晶、積雪の観点から「雪」とは何か見ていく。


雪の定義

雪の定義をいくつか調べてみると以下のような例が出てくる。


雲の中で水蒸気が昇華し、成長した氷の結晶となって降ってくる白いもの。また、それが降り積もった もの。

weblio辞典 - 雪


また、別の定義を見てみると、以下のようにも書いてある。


(ゆき、ドイツ語: Schnee、英語: Snow、フランス語: neige、ポルトガル語: neve)は、大気中の水蒸気から生成される氷の結晶が空から落下してくる天気。また、雪の氷晶単体である**雪片(せっぺん、snowflake)、または降り積もった状態である積雪(せきせつ、snowpackなど)を指すこともある。後者と区別するために、前者を降雪**(こうせつ、snowfall)と呼びわける場合もある[1]。

wikipedia - 雪


wikipediaで述べている通り、「雪」と一言で言ってもそこでは落ちてくる結晶のことを指したり、天気のことを行っていることもあるし、積雪のことを指している時もある。それぞれの「雪」について詳しくみていく。


降雪


雪とは何か?降雪の仕組みを辿っていくと答えは「雲でできた氷の結晶が落ちて来る白いもの」ということになる。では雪はどのようにしてふるのか。降雪の仕組みとしては、まず上昇気流に乗った水蒸気が上空で凍って「氷晶」ができる。その氷晶がある程度大きくなると上昇気流に逆らって地上に落下する。その時に雲の中にある周りの水滴、雲粒とぶつかり、様々な六角形を形成し、地上にふる。


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日本海側に降雪が多い理由としては、この上昇気流に乗る水蒸気が多いことも関係する。


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雪と雨の違い

では雪と雨の違いはどこで出て来るのだろうか。判別の情報として、気象庁が2011年に出した降水種別の判別として、降水時の気温と湿度の関係図を作成している。(1) 雲の中では氷の結晶ができていても、地上が暖かければ雨になって落ちて来る。気温が十分に低い、もしくは湿度が十分に低くなければ雪として落ちてこないことがグラフからわかる。


気象庁の降水種別判別図を参照して作成


雪はなぜ白いのか

雲の上で氷の結晶が発達して雪として落ちて来ることはわかったが、ではなぜ氷の結晶は透明なのに対し、雪は白いものとして認識されるのだろうか。通常水や雪の結晶は、光の波長を反射・吸収せず、透過するために透明に見えるが、雪の結晶が集まるようになると、光は色々なところで反射し出し、光は透過しにくくなる。この乱反射によって結果的にほとんどの可視光の波長は反射され、人間の目には白として認識されるようになる。



そもそも色が見える時の光の波長についてや白色についてなどの説明は下記でまとめている。




雪の結晶


「雪」というと、雪の結晶を思い浮かぶ人も多いだろう。雪の結晶は「雪片」という名前でも知られる。先ほどの降雪の仕組みで少し触れたが、上空でできた「氷晶」が落ちて来る最中に雲粒とくっつき、多様な六角形になって落ちてきたものが結晶になる。


雪の結晶の種類は121種類

現在雪の結晶の分類において、「グローバル分類」という分類があり、8大分類、39中分類、121小分類に分けられている。この分類の作成は「雪結晶の新しい分類表を作る会」が携わっており、グローバル分類の詳細については、分類の歴史や経緯なども含め、日本雪氷学会誌の「雪氷」74巻3号にてみることができる。

現在121種類もの種類がある雪の結晶の形は、「水蒸気の量」と「気温」によって形が決まるとされる。(2) 下記は「中谷ダイヤグラム」と呼ばれる図で、気温と水蒸気の関係によってどのような結晶が生まれるかを示している。


中谷ダイヤグラムの概念図(小林禎作・古川義純 1991)を元に作成


雪の結晶の種類:「グローバル分類」からみる雪の結晶121種類

雪の結晶の種類は「グローバル分類」という分類のもと、121種類に分けられているが、どのような種類があるのだろうか。

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積雪


「雪」という言葉を使う時は地面に積もった雪、つまり「積雪」のことを指す場合もある。積雪は日常生活でも関係して来る所が多い。天気予報でも積雪量という言葉は聞くし、雪国と都市圏で積雪量の基準に差はあれど、公共交通機関などにも影響を及ぼす可能性もある。スキーヤー・スノーボーダーであれば積雪の情報は待ち遠しいだろう。


積雪の分類

積雪にも雪の結晶と同じく分類分けされており、日本雪氷学会では以下のように積雪を分類している。


日本語名英語名説明密度 [kg/㎥]
新雪new snow降雪の結晶の形が残っているもの。みぞれやあられを含む。30 ~ 150
こしまり雪lightly compacted snow新雪としまり雪の中間。降雪結晶の形はほとんど残っていないが、しまり雪にはなっていない。100 ~ 250
しまり雪compacted snowこしまり雪にさらに圧力が加わり、雪同士がくっついて丸みを帯びた氷の粒。粒はお互いに網目状につながって丈夫。150 ~ 500
こしもざらめ雪solid-type depth hoar平らな面をもった粒。100 ~ 400
しもざらめ雪depth hoarコップ状の粒からなる、元の雪粒が霜(しも)に置き換わったもの。著しく硬いものもある。200 ~ 400
ざらめ雪granular snow水を含み、大きくなった氷の粒や、水を含んだ雪が再凍結して、大きな丸い粒が連なったもの。200 ~ 500
氷板ice layer板状の氷-
表面霜surface hoar空気中の水蒸気が雪面で凍結したしも-
クラストcrust雪面・積雪層の表面でできる薄い硬い層。-
(亀田・高橋,2017)p86 表3.1の「積雪の分類」より作成


積雪深と降雪量


積雪に関する用語で天気予報でよく聞く言葉として「積雪深」や「降雪量」がある。ウェザーニュースによれば「積雪深」はある時点での積雪の厚みを表しているのに対し、1時間毎の積雪深の増加量を気象観測では「降雪量」と呼んでいる。


積雪の様子

積雪の様子として、新潟県十日町市松之山の積雪量を例に出す。下記のグラフは2021 - 22シーズンの積雪量を表したもので、グレーのラインは2007 - 2021年までの過去の積雪量をグラフで表している。21 -22シーズンは最高412cmの積雪量を記録した。



1シーズンの積雪の様子はこちらで見ることができる。


世界有数の豪雪地帯、新潟県十日町市松之山の積雪量・降雪量を写真で振り返る

新潟は全てのエリアが豪雪地帯に指定されている(令和3年時点)が、その中でも十日町の積雪は日本一を争う、いや、世界有数の豪雪地帯ともいえるかもしれない...4mの積雪を超えた新潟県十日町市松之山の2021 - 2022シーズンの積雪量を写真で振り返る。

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注:
(1)  気象庁降水種別判別を元にした着雪指標の検討

参照:
亀田 貴雄, 高橋 修平, 2017: 雪氷学。古今書院, 349 pp. ISBN 978-4-7722-4194-6.

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雪の結晶 - public domain

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