気圧とは〜低気圧と高気圧の違い、等圧線まで、降雪のメカニズムを探る旅②



気圧は天候を左右する見えない力である。高気圧は空を晴れ渡らせ、低気圧は雲を集め、時には雪を降らせる。気圧を理解することは、天候のメカニズムを知る第一歩でもあり、冬の美しい雪景色を形作る仕組みを解き明かす手がかりともなる。気圧の基本から高気圧・低気圧の違いを理解することで降雪のメカニズムを紐解いていく。

以前の記事はこちらから:

*ニュートンとは〜運動方程式からパスカル、気圧まで、降雪のメカニズムを探る旅




天気の鍵を握る「気圧」とは


まず、「気圧」とは何かを見ていく。気象庁の定義によると、気圧とは以下のように書かれている。


大気の圧力。通常、ある地点の気圧はその点を中心とする単位面積上でその上の空気柱の総重量が相当する。

気象庁 - 気圧配置 気圧・高気圧・低気圧に関する用語


この大気の圧力が強いか弱いかによって天気の変化を左右する「高気圧」「低気圧」へと分かれていくのだが、上記の定義を一つ一つ分解して見ていきたい。


圧力とは

大気の圧力とはなんだろう?こちらの記事でも見てきたが、圧力とは単位面積あたりに対して垂直に働く力だ。簡単に言えば、地表にかかる空気の重さを指している。

この「空気柱」とは、地表から上空に向かって広がる空気の塊を柱のように見立てたものである。そして、この空気の重さを計測することで圧力の値が得られる。圧力の単位はパスカル(Pa)だが、天気予報などでは「ヘクトパスカル(hPa)」がよく使われる。1 hPaは100 Paに相当し、標準的な大気圧は約1013 hPaとされている。




空気の正体とは


「空気柱」と呼ばれる大気の中身についても詳しく見てみよう。大気は私たちが呼吸する空気のことで、その構成成分は平成10年の環境省の大気環境保全技術マニュアルによれば、以下の通りである:

  • 窒素78%
  • 酸素21%
  • その他1%(アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ネオン、ヘリウム、メタン、クリプトン、水素分子、オゾン、水蒸気)


これらの混合物が気圧として私たちに影響を与えている。



参照:平成10年の環境省の大気環境保全技術マニュアル



気圧を具体的にイメージすると、それは一方向にのみ働くものではなく、四方八方から力を及ぼすものである。大気は地球全体を取り囲み、上下、左右、斜め方向に圧力を発している。このように、気圧の力は空間全体に満遍なく広がり、あらゆる方向から押し寄せる形で存在している。


人に対しても満遍なく大気が押し合っている


低気圧と高気圧の違い

ここまで見てきた「気圧」が天気に関連する「低気圧」と「高気圧」といった内容につながっていく。この低気圧と高気圧がどこに位置しているかによって天気が左右される。



低気圧・高気圧とは

天気予報でお馴染みなのが「高気圧」と「低気圧」という二つの気圧の存在だろう。この二つによって天気の変化や風の動き、降水の有無など、私たちの日常に直結する気象現象を生み出す要因となる。

高気圧は、周囲の気圧よりも高い気圧の領域を指しており、高気圧の中心部では空気が下降し、地表付近の空気が押し広げられる。このため、雲が形成されにくく、一般的には晴天がもたらされる。一方、低気圧は、周囲の気圧よりも低い領域を指し、中心部に向かって周囲の空気が収束し、上昇気流が発生する。上昇する空気は冷やされ、含まれる水蒸気が凝結して雲を形成するため、低気圧は雨や雪といった降水を伴うことが多い。

この高気圧と低気圧の領域を知ることができる線が「等圧線」と呼ばれる。


等圧線とは〜等圧線が生み出す低気圧・高気圧


低気圧や高気圧がどのように形成されるかを理解するためには、天気図に描かれる「等圧線」の意味を把握することが重要だ。等圧線は、気圧が等しい地点を結んだ線のことであり、気象学ではこれを用いて気圧の分布を視覚的に表現する。等圧線は、気象現象の予測や分析に欠かせないツールであり、高気圧や低気圧の位置や勢力を把握するための基本となる。


等圧線は、気圧が等しい地点を結んだ線のこと



特に注目すべきは、等圧線が円形または楕円形に閉じた領域を形成している場合である。このとき、円の中心付近の気圧が周囲より高ければその領域は「高気圧」と呼ばれ、逆に中心付近の気圧が周囲より低ければ「低気圧」となる。高気圧か低気圧かは周りの気圧との比較で相対的に決まるため、〇〇hPa以上なら高気圧、というような決まった定義は存在していない。



低気圧と高気圧の違い


等圧線から読み取れる「低気圧」と「高気圧」。これらの間にはどのような関係があるのだろうか。空気の性質としては高気圧から低気圧へと流れる性質を持っている。この「空気が流れる」という現象が、私たちが日常的に感じる「風が吹く」という現象にあたる。そして、その風は常に高気圧から低気圧へと流れ込む方向で吹いている。

高気圧とはつまり空気の押す力が低気圧の部分より大きいということなので、高気圧の領域から空気がどんどん低気圧の方へ押し出していく。この押し出される動きが私たち人間にとっては風となって感じることとなる。





低気圧の中心は周囲に比べて気圧が低いため、四方八方から空気が集まり込んでくる。この集まった空気は地表付近で行き場を失うが、地面や海面に潜り込むことはできないため、唯一の出口として上空へ向かって流れ上がる。このようにして、低気圧の中心では「上昇気流」が発生する。



こうして低気圧の上昇気流によって生み出された雲によって雪が降ることになるのだが、気圧がどこに配置されるのかを理解することも雪が降る仕組みを理解することにつながる。

次は気圧配置について。


参照:
仙台管区気象台 - 風が吹く仕組み
weathernews - 1分でわかる天気のコトバ〜低気圧〜


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