現代アート(現代美術)とは 現代美術はどのように始まったのか

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2021年10月から新潟県十日町市松之山黒倉に地域おこし協力隊として地域に入り、現代美術の祭典である大地の芸術祭の作品整備に関わらせていただく機会ができた。そこでは多種多様な作品が置かれており、一見分かりやすい括り方がないように見える。現代アートとは一体何か?どのように始まったのか?


現代アートの定義

まずは現代アートの定義をいくつか拾って見てみる。


現代美術(げんだいびじゅつ、英語: Contemporary art)またはコンテンポラリー・アートとは、歴史の現代を借りた用語で、美術史における今日、すなわち20世紀後半の第二次世界大戦後の1950年以降から21世紀までの美術を指す。

現代美術 - wikipedia

大まかに定義すると「現代アート」とは、私たちの生活する現代社会が抱えている問題をひも解き、社会や美術史への批判性を投影している作品のこと。第二次世界大戦(1945年)以降の芸術を指すこともある。

「現代アートとは?魅力・見方・楽しみ方って?「わからない」との「対話」がカギ!」 - warakuweb

現代アートとは、現代の社会情勢や社会問題を反映した作品や、美術史や社会への問題提起・批判を感じさせる作品のことを指します

現代アート - This is media


また、山本浩貴の著作「現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル」によれば、現代美術「Contemporary Art」という言葉に明確な定義はなく、多様性を最大限尊重する現代美術の世界では、あらゆるものが芸術となる可能性を持つという。第二次世界大戦後に出てきた新しいアートだということ、現代社会の問題を反映させる作品というのはなんとなく定義が理解できるものの、あらゆるものが芸術になる可能性を持つとはどういうことだろう?


現代アートの始まり

現代アートの始まりとしてよく例に出される作品として、マルセル・デュシャンの泉 (1917) がある。デュシャンは、彼以前に出てきた色彩感覚や正確に対照を描くスキルなど絵画の出来を目でみて凄さを判断できるアートを批判していた。(1) そこで彼が出展したのが「泉 」(1917) という作品で、既製品の男性用小便器にただ署名したもので、このアートが物議を醸した。


この作品によって、デュシャンは「何が芸術なのか」という芸術の概念そのものに問いを投げかけることになる。(2) デュシャンは目だけで判断するアートではなく、精神に刺さり、思考を生み出すアートを訴えかけた。(1) これが現代アートの始まりと言われる。


コンセプト・概念がアートの中心に

このデュシャンの泉の作品からアートの価値観が変化していく。作品の物質性(色・かたち・素材など)よりも扱われるテーマや問いが重視され、既存の芸術概念を疑って押し広げることで現代アートが発展していく。(2)こうしてコンセプチュアルアート(概念芸術)と呼ばれるアートが1960年以降登場し、このコンセプチュアルアート以外にもキネティックアート・ポップアート・ミニマルアート・ランドアート・パブリックアートといった多種多様なアートが出てくるようになる。(2) 扱われる概念も最初の芸術そのものの概念の問いかけから、社会問題や政治、様々な概念をアートで表現するようになっていった。


ツールも多様化

時代が進んで、写真、映像、使えるテクノロジーが増えていくことで、アートの種類や表現の種類もさらに多彩になっていく。


現代アートの種類

現代アートの種類をいくつか挙げてみる。

  • コンセプチュアルアート
  • パフォーマンスアート
  • ポップアート
  • ミニマルアート
  • インスタレーション
  • メディアアート

などなど。


ポップアート

1950年代半ばごろに登場。映画・コミック・雑誌・広告・報道写真といった大衆社会で大量に出回る素材を取り上げたアート作品で、大量生産・消費社会をテーマとして表現。


インスタレーション

作:河口龍夫 タイトル:農具の時間 ー 越後妻有大地の芸術祭

インスタレーションは

1970年以降に定着したアート(2)。展示空間を含めて作品とみなす。


メディアアート

「メディア・アート」という言葉が広まり始めたのは1980年代以降。(3) デジタルテクノロジーを使った芸術作品の総称で呼ばれ、ルーツには50年代~60年代に台頭したコンピュータ・アート、70年代のヴィデオ・アートなどがある。(3)

こうしたアートとテクノロジーが交差する分野で創造的な表現をするためのツールも次々に開発されていく。例えば下記に紹介する「Touchdesigner」は作りたい芸術的なイメージとプログラミングの難しさの間で悩むデザイナー達に深い理解を与えるためのツールとして開発されている。


TouchDesignerとは プログラミングで創造的に表現する

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スマホが普及し、データが大量に集まり、ビッグ・データの認知が社会でされてくると、「データ・アート」のようなデータの表現方法を広げる分野も登場している。


データビジュアライゼーションとは データの可視化の歴史と重要性

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地域アート

広義には、ある地域を舞台に展開されるアート・プロジェクト全般のことで、主なプロジェクトに「越後妻有大地の芸術祭」「瀬戸内国際芸術祭」「横浜トリエンナーレ」「あいちトリエンナーレ」などがある。(4) ボランティア、ワークショップの参加者、自治体職員、観客などイベントに関わる多様な人々が繋がり、コミュニケーションを取り、進んでいくプロジェクトのプロセスそのものが重視される。(4)


越後妻有の国際現代美術の祭典「大地の芸術祭」は豪雪地帯に生きる人間と自然の関わり方に新たな意味を創り出す

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実際に、私の所属する黒倉地域に誘致された大地の芸術祭作品「パレス黒倉」の制作にあたって、地域と作家さんが密に連絡を取り合い、周辺の整備も市役所と連携をとりながら進めていった。制作における連携の様子は下記で見ることができる。


集落との共創アート:大地の芸術祭「パレス黒倉」が松之山黒倉で公開されるまで

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未来のアートはどんなアート?

以上現代アートについて見てきたが、今後もコンセプトが重要視されてあらゆるものがアートのツールになっていき、「これは果たして芸術なのか?」というような現在は芸術として認知されていないものが沢山でて議論がなされていく中で、よくわからなかったものが新しいアートの分野として社会に認知されていくのかもしれない。


注:
(1) 現代アートとは?アートの歴史から見る現代美術の楽しみ方
(2) 山本(2019)
(3) メディア・アート
(4) 地域アート
参照:
山本浩貴  (2019). 現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル (中公新書) 中央公論新社

アイキャッチ画像
作品 - 「棚田」イリヤ&エミリア・カバコフ

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