雪国の暮らしにおいて除雪作業は欠かせない。特に新潟県は積雪も多く、雪質は重く、積もった雪をそのままにすると建物が潰れたりなど様々な被害を及ぼす。ここでは世界有数の豪雪地帯である十日町市で行われている除雪の方法を紹介する。
除雪の方法一覧
除雪作業の方法を一覧でまとめると、大まかには以下のように分けられる。
- 道路除雪
- 機械除雪
- 消雪パイプの利用
- 流雪溝の利用
- 雪庇落とし
- 住宅除雪
- 機械除雪
- 屋根の雪下ろし・雪掘り
- 手作業・道具による除雪
これらの方法を見ていく。
道路除雪
国道、県道、市町村道、高速道路、鉄道と社会経済活動にとって冬期道路交通確保は欠かせない。地方公共団体が道路管理をする。
機械除雪
道路除雪のための機械は様々な種類がある。主な機械は除雪ドーザ(新雪除雪、拡幅除雪)、除雪グレーダ(路面整正)、ロータリ除雪車(投雪、拡幅除雪)、除雪トラック(運搬排雪)など。このほか、凍結防止剤散布車もある。道路除雪の機械の写真に関しては、wikipediaにて見ることができる。

消雪パイプ
消雪パイプは、新潟県の長岡発祥で、地下水をポンプで汲み上げ、路面に散水して雪を溶かすための施設。地下水は常時10〜14℃のため、路上の雪を溶かすことができる。新潟県は冬期0℃前後が多く地下水は路上でも凍らないが、北海道等の気温が低い地域では水がすぐに凍結してしまうため、消雪パイプは存在しない。

もし消雪パイプがないとどうなるのか?2021 - 22シーズン時点では十日町市松之山の黒倉集落には消雪パイプがないため、除雪車が朝昼二回に分けて除雪している。もし除雪車が来ないと道に雪が降り積もってしまい、車がスタックしてしまう可能性が十分にある。

流雪溝の利用
自然の流水の運搬作用を利用して雪の塊を流して排雪するための施設。流雪溝に雪を入れ過ぎてしまうと、雪が流れていかず詰まっていき、人家や道路に浸水することがあるため、地域ルールにより排雪時間が地区毎に決められている。
雪庇落とし
斜面や標識、橋梁やトンネル出口などに溜まった雪が風下に垂れ下がってしまう雪庇を落とす作業。人力や機械を使って作業する。
住宅除雪
住宅除雪はその土地に住む住民にとっては家を守るための大切な仕事になる。
住宅周りの機械除雪
自宅周り(玄関、敷地、駐車場など)の除雪は欠かせない。玄関周りも除雪をしなければ外にも出れないような状況に陥ってしまう。自宅周りの除雪には除雪機が欠かせない。

集落による除雪自治組織
しかし自分で住宅周りを全て除雪するのは時間もかかるし、除雪機も安いものではない。これは特殊な例かもしれないが、十日町市松之山の黒倉集落では除雪で自治組織「黒倉助っ人隊」という組織を作り、当番制で除雪機を使って集落の各戸の除雪を回っている。各戸の住民は除雪してもらう道を決め、m単位でお金を払う。そのお金が助っ人隊の賃金や除雪機の購入・修理費用として使われる。


屋根の雪掘り
住宅周りの除雪だけではなく、屋根の雪掘りも重要な仕事だ。屋根に降り積もった雪を落とすことで、建物が雪の重みで潰れてしまうことを避ける。この雪掘り作業のため、住宅脇に池を設置し、屋根で直接池に雪を下ろして消す住宅もある。この雪掘りの問題点として、雪掘りで屋根から落下する事故も数多くあり、雪国の一つの課題となっている。


最近では融雪機能の付いている屋根や、落雪屋根などもあり、雪掘りをしなくても良い屋根も登場している。雪掘りをする必要がないメリットがある一方で、駐車している車に落ちたり、人に落ちて事故になる危険性もある。

手作業・道具による除雪
雪掘りや家の周りなど、除雪機では対応できない細かい部分に対応するために様々な道具がある。そもそも除雪機が生まれる前は手作業による除雪が一般的だった。現在の一般的な道具はスノーダンプ。十日町市で生まれた「クマ式」というスノーダンプもある。雪かきスコップはアルミ製、プラスチック製など多数あり、形も様々で地域の雪質の特色に合ったものが使用されている。昔は木で作られていたものもあり、コスキなどからその面影を見ることができる。
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