発酵によって生み出される独特の風味を持ち、様々な料理に活用できる発酵調味料「塩麹」。塩麹とは何か、その基礎知識や作り方についてみていく。
塩麹とは何か
塩麹は発酵調味料の一つで、米麹と塩、水を使って作られる。塩代わりとして幅広く代用できる調味料だが、塩分にプラスして米麹ならではの甘みや、発酵調味料ならではの複雑な香りや旨味も楽しむことができる。
そもそも麹とはー「米麹」について
麹とはそもそもなんだろうか?原料となる穀物に「麹菌」を培養させたものを「麹」という。米麹はその麹の種類の一つで、白米に麹菌を培養させたものを米麹という。米だけでなく、大豆や小麦も麹として使われ、それぞれ豆麹・麦麹になる。

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米麹とは何か:日本の発酵食文化に欠かせない米麹について
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今回の「塩麹」は麹の中の一つ「米麹」を使って作る調味料だ。
そもそも発酵とは

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塩麹の作り方
塩麹は水・塩・米麹を混ぜ合わせて醗酵させていくのだが、自家製で醗酵させるときは、発酵フードメーカー・ヨーグルトメーカーなどの機械を使って加熱して醗酵させる方法と、自然熟成で行う場合がある。大体加熱で発酵させると55℃で1−2日、自然熟成の場合は30℃で 7 日間程かかる(1)。

発酵フードメーカーでの塩麹の作り方手順
発酵フードメーカーやヨーグルトメーカーの場合は機械で温度調節できるため、短い期間で塩麹を発酵させて完成させることができる。今回は「IDEA Label」の発酵フードメーカーとそのレシピを参考にして作ってみた。レシピは以下の通り。
[材料]
米麹(あれば板麹)200g
水 260ml
塩 60g
Hakkou food MAKER 8 Recipes book
まずは容器に材料を入れてよく混ぜる。

材料を混ぜた後、加温設定を60℃、タイマーを6時間に設定して、容器を発酵フードメーカーに入れて加温させる。

6時間経つと完成。別の容器に移し替えて冷蔵庫に保存する。

常温の場合は1日に1回混ぜる
常温の場合は1週間は醗酵させておく必要があるが空気に触れている部分に雑菌が繁殖しやすいので、混ぜることで空気に触れている部分を入れ替え、雑菌が出ないようにする必要がある。
加熱発酵と常温発酵で何が異なるのか
加熱して短期間で塩麹を作る方法は工業的な生産としてメリットがあり、短期間で効率的に作れる他、食品衛生的にも雑菌汚染を防ぐために高温熟成が望ましいとされている(2)。
また、加熱する方法と常温では味にも変化が現れるようだ。以下に温度別の麹菌の状態と酵素の働きについてまとめを引用する。
温度 | 麹菌の状態 | 酵素のはたらき |
60~70℃ | 多くの酵素が活性を失う(酵素のはたらきが止まる) | |
60℃ | デンプンを分解する酵素が最もよく働く(→甘みが強くなる) | |
47℃~ | 徐々に死滅する(水分量によって温度・時間は異なる) | |
45℃ | 増殖が止まる | |
40℃以上 | 酵素の生成量が減る | |
35℃~40℃ | デンプンを分解する酵素をよく作る(→甘みが強くなる) | |
35~38℃ | 繁殖する | |
30~50℃ | タンパク質を分解する酵素が最もよく働く(→旨味、コクが強くなる) | |
25~30℃ | タンパク質を分解する酵素をよく作る(→旨味、コクが強くなる) | |
30℃~35℃ | 発芽最適温度 |
上記の表から見ると、常温発酵ではたんぱく質を分解する酵素がよくでき、高温で発酵するとデンプンを分解する酵素がよく作られる。この酵素の活性の違いによって、調味料として使うべきところも変わっていく。
塩麹の塩分濃度計算
温度と同様に、塩麹の味は塩分濃度によっても変わってくる。塩分濃度計算をすることで、塩麹の味の濃さの一つの指標になる。計算式は以下の通り。
塩分濃度=塩 / (米麹 + 塩 + 水) × 100
例として、発酵フードメーカーのレシピを参考にして、塩分濃度を計算すると以下のようになる。
60 / (200 + 60 + 260) × 100 = 11.5%
参照: (1) 前橋 健二(2018) 塩麹が創る旨み (2) 前橋 健二(2017) 塩麹の調味特性 Bull. Soc. Sea Water Sci., Jpn., 71, 232 - 239 (『Flavoring Characteristics of a Salt-malted Rice, Shio-koji』)