中山間地域とは何か 定義と役割

地域おこし協力隊として新潟県十日町市松之山で活動しているが、この地域はよく「中山間地域」と表現されることがある。

中山間地域とは一体何か?整理してみた。


中山間地域の定義

農林水産省の定義で見ると、以下のような定義が書かれている。

中山間地域とは、山間地およびその周辺の地域、そのほか地理的条件が悪く、農業をするのに不利な地域

農林水産省


また、日本の食料・農業・農村基本法35条にも以下のような定義がされている。

山間地及びその周辺の地域その他の地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域

日本の食料・農業・農村基本法35条


図で表すと以下のような場所。



どこで使われ始めたのか?

元々「中山間地域」とは農業のために使われ始めた言葉。

農林水産省が統計の分析や、農政の推進の基礎資料として活用するために「農業地域類型区分」として都市的地域・平地農業地域・中間農業地域・山間農業地域の4地域類型を設定した。

この中の中間農業地域・山間農業地域の2地域を中山間地域と呼ばれている。


農業地域類型区分の定義

農林水産省は以下のように農業地域を分類している。


区分基準指標
都市的地域-可住地に占めるDID面積が5%以上で、人口密度500人/㎢以上 - 又はDID人口2万人以上の市区町村及び旧市区町村
平地農業地域○ 耕地率20%以上かつ林野率50%以上で、傾斜20分の1以上の田と 傾斜8度以上の畑の合計面積の割合が10%未満の市区町村及び旧市 区町村
中間農業地域 (中山間地域)○ 耕地率が20%未満で、「都市的地域」及び「山間農業地域」以外 の市区町村及び旧市区町村
○ 耕地率が20%以上で、「都市的地域」及び「平地農業地域」以外 の市区町村及び旧市区町村
山間農業地域  (中山間地域)○ 林野率80%以上かつ耕地率10%未満の市区町村及び旧市区町村
https://www.maff.go.jp/j/tokei/chiiki_ruikei/setsumei.html
注:
- DIDとはDensely Inhabited District の略で人口集中地区のこと。原則として人 口密度が4千人/㎢以上の国勢調査基本単位区等が市区町村内で互いに隣接して、それ らの隣接した地域の人口が5千人以上を有する地区をいう。 
- 傾斜は1筆ごとの耕作面の傾斜ではなく、団地としての地形上の主傾斜をいう。
- 農業地域類型区分の「中間農業地域」と「山間農業地域」を合わせた地域を「中山間地域」という。 
- 旧市区町村とは、昭和25(1950)年2月1日時点の市区町村をいう。 
https://www.maff.go.jp/j/tokei/chiiki_ruikei/setsumei.html


中山間地域はどんな役割があるのか?

中山間地域を含む農村は米や野菜を生産する場として機能しているだけでなく、生活を豊かにする様々な機能がある。

水田の機能については例えば以下のようなものがある。

  1. 洪水を防ぐ
  2. 土砂崩れを防ぐ
  3. 地下水を作る
  4. 暑さを和らげる
  5. 農村の景観を保全する
  6. 文化を伝承する
  7. 次世代に食物生産の教育をする
  8. 生物の多様性が守られる


こうした食べ物の生産以外の機能は「多面的機能」と言われる。


農業・農村が持つ多面的機能が地域の環境を守り、景観の美しさや文化を次世代に継承する

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機能しなくなってきている中山間地域のシステム

中山間地域では過疎化や高齢化が進行し、社会システムも変わることで、これまで地域を維持してきたシステムが上手く機能しなくなってきている。


地域にはどんなシステムがあったのか?

中山間地域の地域運営は集落単位で行われていることが多い。

例えば道普請(草刈り、道づくりなどの公共事業)、収穫祭などの地域行事、農用地の維持管理、雪が降る地域なら地域除雪など、地域で当番制にしたりなど集落で行われている。


なぜ機能しなくなっているのか

以下のような理由が挙げられる。

  • 農家以外の会社勤めの増加

農家と会社員勤めでは、仕事のスケジュールは全く異なる。すると全員で集まって仕事をしたりといったスケジュール調整が格段に難しくなる。

  • 住民の転出

大学進学で大都市に出て、就職をそのまま大都市で行うために、住民が中山間地域から転出してしまうということは多い。

また、高齢化してから、中山間地域の生活が不便になり、都心に引っ越すというパターンもある。

  • 高齢化による労働力の低下

高齢化のために、労働力が低下していき、以前の集落での役割が果たせなくなる。


中山間地域を支える「中山間地域等直接支払制度」

社会構造が変化していく中、農村の多面的機能を維持する為に、支援制度もできている。例えば支援制度のうちの一つ、「中山間地域等直接支払制度」は、中山間地域等の農業の生産条件等が不利な地域に対して、農業の継続を目的とした国や地方自治体の支援制度だ。

農業の多面的機能を維持する為に作られた、中山間地域の保護を含む「日本型直接支払制度」という支援制度が作られ、農村機能維持のための役割を果たしている。



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中山間地域等直接支払制度の目的は?

中山間地域の農村を維持することによって、多面的な機能が守られ、洪水や土砂崩れを防ぐなどの安全面や風景や生物多様性を守るなどの環境面での機を維持することができるが、中山間地域では過疎化や高齢化が進行しており、維持が難しくなっている。

中山間地域での農村を維持するために、支援が行われている。


稲作の歴史:稲作からみた日本の成り立ち

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里山と中山間地域はどう違うのか

中山間地域は主に農業分野で使われる用語で、山間地およびその周辺の地域、そのほか地理的条件が悪く、農業をするのに不利な地域を指しているのに対し、里山は集落や人里に近く、人間の影響を受けた生態系が存在する山のことを指す。

そもそも山はどのようにしてできるのだろうか。山の成り立ちには「プレートテクトニクス理論」という山の成り立ちの他にも地震や火山活動、大陸の移動などが説明できる理論が深く関わっている。


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