雪が降る仕組みはどのようになっているのだろうか。なぜ雪が降るのかを知ることで雪の見え方が変わってくるかもしれない。サイエンスの目線から見る降雪についてを整理する。
雪が降る仕組み
雪が降る仕組みをステップごとに分けて見ていく。
- 上昇気流に乗って水蒸気が上空へ
- 水蒸気が凍って「氷晶」ができる
- 上昇気流に逆らって落下するぐらい重くなり、下に落下
- 落下の途中で周りの水滴とぶつかり、六角形の形を形成
- 雪が地上に降り落ちる
上昇気流に乗って水蒸気が上空へ
雪が降る過程を知るために、まずは雲ができる過程まで遡る必要がある。空気中の水蒸気が上昇気流によって運ばれると、温度が下がり水蒸気が水滴となって現れてくるのだが、この水滴は「雲粒」と呼ばれ、雲の構成要素になる。(1)
「雲粒」が凍って「氷晶」ができる
先ほどの「雲粒」がさらに上昇気流に乗って上空に上がっていき、気温が−20℃くらいまで下がると、これらの雲粒が凍って、氷晶に変化する。(2)
上昇気流に逆らって落下するぐらい重くなり、下に落下
氷晶は周りの雲粒をどんどん取り込んでいく。ある程度の重さになると、上昇気流に逆らい地面に落ちていく。
落下の途中で周りの水滴とぶつかり、多様な六角形を形成
大きくなった氷晶は落下して行く途中で、雲粒とぶつかる。この氷晶は六角形の形をしているが、この六角形の角の部分に雲粒がぶつかって凍って行く。(3)こうして多様な六角形ができていく。
雪の結晶は現在「グローバル分類」という名前で121種類もの種類に分けられており、「水蒸気の量」と「気温」によって形が決まるとされる。
-
雪の結晶の種類:「グローバル分類」からみる雪の結晶121種類
雪の結晶の種類は「グローバル分類」という分類のもと、121種類に分けられているが、どのような種類があるのだろうか。
続きを見る
雪が地上に降り落ちる
こうしてできた六角形の塊は「雪」として、地上に降り落ちる。もちろん地上の温度があったかければ、雲の上でできた雪も雨となって降り落ちるので、雪が地上に降り落ちるかどうかは、地上の温度に左右される。
なぜ日本海側は雪が多く降るのか
日本海側の大雪の原因は温かい対馬海流から沢山の水蒸気が発生して雲となり季節風で日本列島まで運ばれ、この運ばれた雲が日本の脊梁山脈にぶつかってさらに上昇し、大量の雪雲に変化するために日本海側に大雪が降るとされる。
豪雪地帯の指定地域の全体図を見てみると、山脈沿いに豪雪地帯が集まっていることがわかる。
大雪の原因に関しては詳しくはこちらに書いた。
-
大雪の原因:日本海側で雪が多い理由を整理する
日本海側の大部分は「豪雪地帯」として知られているが、なぜ日本海側に雪が集中的に降るのだろうか。日本海側での大雪の原因を整理する。
続きを見る
以上、雪が降る仕組みを見てきた。snownotesではこのプロセス気圧配置や気圧のメカニズム、さらにはニュートン(N)といった物理の視点から紐解いており、下記からその記事を読むことができる。物理や気象といった異なるレンズを通して雪景色を眺めることで、新たな世界の見え方が自分の中に広がるかもしれない。
ここまでの降雪のメカニズムをめぐる旅の記事は以下より:
*ニュートンとは〜運動方程式からパスカル、気圧まで、降雪のメカニズムを探る旅
*気圧とは〜低気圧と高気圧の違い、等圧線まで、降雪のメカニズムを探る旅②
*冬の気圧配置〜気圧配置とは何か、西高東低の気圧配置まで、降雪のメカニズムをめぐる旅③
参照: (1) 雲の微物理過程の研究 (2) 雲は何からどのようにできるの? (3) どうして雪の結晶は6角形になるの