塩麹と同じく、発酵によって作り出される発酵調味料の「醤油麹」。様々な料理に使えるこの醤油麹の作り方や基礎知識についてみていく。
醤油麹とは何か
醤油麹は発酵調味料の一つで、米麹と醤油を使って作られる。醤油代わりとして幅広く代用できる調味料だが、塩分にプラスして米麹ならではの甘みや、発酵調味料ならではの複雑な香りや旨味も楽しむことができる。醤油麹はタンパク質を分解する効果もあり、肉や魚につけると柔らかい仕上がりにもなる。
そもそも麹とはー「米麹」について
麹とはそもそもなんだろうか?原料となる穀物に「麹菌」を培養させたものを「麹」という。米麹はその麹の種類の一つで、白米に麹菌を培養させたものを米麹という。米だけでなく、大豆や小麦も麹として使われ、それぞれ豆麹・麦麹になる。

米麹は日本の食文化に欠かせないものであり、日本酒や発酵調味料など様々なものに使われている。米麹とは一体何か。 続きを見る
米麹とは何か:日本の発酵食文化に欠かせない米麹について
今回の「醤油麹」は麹の中の一つ「米麹」を使って作る調味料だ。
そもそも発酵とは

発酵についても見ていこう。発酵は微生物の活動によって食べ物が人間にとって良い形に変化することをいう。人間にとって良い変化とは何か?それは栄養素が増えるとか、味が美味しくなるとか、人間にとって好ましい変化を指している。
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発酵とは何か?簡単に分かりやすく解説
世界中で食べられている発酵食品。 日本でも醤油、味噌、みりん、日本酒、漬物など、発酵食品は身近だが、発酵とはそもそもなんなのだろう? ここでは発酵とは何かを解説する。 発酵とは? 発酵とは、微生物の活動によって食べ物が人 ...
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醤油麹の作り方
醤油麹は水・醤油・米麹を混ぜ合わせて発酵させていくのだが、自家製で発酵させるときは、発酵フードメーカー・ヨーグルトメーカーなどの機械を使って加熱して醗酵させる方法と、自然熟成で行う場合がある。大体加熱で発酵させると60℃で8時間ほど(1)、自然発酵の場合は常温で 1-2週間ほど程かかる(2)。

加熱発酵での作り方手順
加熱して発酵させる方法では IDEA Labelのレシピを参考にして作ってみた。レシピは以下の通り:
[材料]
米麹 (あれば板麹) 200g
醤油 250ml
水 100ml
Hakkou food MAKER 8 Recipes book
上記の材料を容器の中にいれてよく混ぜる。

後は発酵フードメーカーに入れて、60℃、8時間の設定にして加温させる。

これで醤油麹が完成する。

加熱発酵と常温発酵で何が異なるのか
加熱する方法と常温での発酵の方法では、麹菌の分解に変化が現れるようだ。以下に温度別の麹菌の状態と酵素の働きについてまとめを引用する。
温度 | 麹菌の状態 | 酵素のはたらき |
60~70℃ | 多くの酵素が活性を失う(酵素のはたらきが止まる) | |
60℃ | デンプンを分解する酵素が最もよく働く(→甘みが強くなる) | |
47℃~ | 徐々に死滅する(水分量によって温度・時間は異なる) | |
45℃ | 増殖が止まる | |
40℃以上 | 酵素の生成量が減る | |
35℃~40℃ | デンプンを分解する酵素をよく作る(→甘みが強くなる) | |
35~38℃ | 繁殖する | |
30~50℃ | タンパク質を分解する酵素が最もよく働く(→旨味、コクが強くなる) | |
25~30℃ | タンパク質を分解する酵素をよく作る(→旨味、コクが強くなる) | |
30℃~35℃ | 発芽最適温度 |
上記の表から見ると、常温発酵ではたんぱく質を分解する酵素がよくでき、高温で発酵するとデンプンを分解する酵素がよく作られる。この酵素の活性の違いによって調味料として使った時に味の変化が出るかもしれない。
参照: (1) Hakkou food MAKER 8 Recipes book (2) 醤油麹とは? その味、作り方、使い方、レシピ&健康効果をカンタンまとめ