苗出し作業が終わり、苗が十分に伸びると、いよいよ田植えの作業が始まる。2021年10月から新潟県十日町市松之山黒倉で地域おこし協力隊に着任しており、農業をお手伝いさせていただいた中での田植えの様子を整理していく。
田植えのスケジュール
発芽した芽を少しずつ外の太陽の光に当て、苗を順調に育て、田んぼも代掻きを終えると、いよいよ田んぼに苗を植える作業になる。黒倉生産組合では2022年度に苗出しをしたのが4月14日。ゴールデンウィークあたりの時期には、田んぼに水を入れてトラクターで土をかき混ぜていく。
苗出しの作業の詳細に関してはこちらに書いた。
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水稲育苗:田植えにむけた育苗作業と苗出し
播種が終わり、出芽するといよいよ苗出しをして育苗の作業に移る。ここでは苗出しから育苗までの流れを整理していく。
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田植えの装備
田植えの装備は以下のようなものがあるとやりやすい。
- 田植え用長靴
- 蚊取り線香と吊り下げる容器
- 腰に巻き付ける苗かご
- やっけまたは皮膚を守るアームカバー
田植え用長靴
田んぼに入るとぬかるみに引っ張られて長靴が脱げそうになったり、深いところに入ると泥水が長靴の中に入ってきてしまうこともある。田植え用の長靴は以下のような特徴がある。
- くるぶしと土踏まずの部分をゴムでしばれることでフィットして脱げにくい
- 普通の長靴より長いので泥が入りにくい
蚊取り線香と吊り下げる容器
田植えの最中、蚊やブヨ、ウンカなどが大量発生していることもあるので虫除けスプレー、蚊取り線香など対策をすると良い。
腰に巻き付ける苗かご
田んぼに入ると、戻るのが大変なので、腰に苗を常備しておき、なるべく多く苗を植えれるようにしておく。
やっけまたは皮膚を守るアームカバー
作業用の上着であるやっけや、アームカバーをつけておくことで、虫刺されを防止したり、過度な日焼けを防止できる。
手植えの様子
手植えの手順は以下のようになる。
- すぎっぱ拾い・土を平らにする作業
- 線引き
- (必要に応じて)殺虫剤や肥料を苗にまく
- 線に合わせて田植え
すぎっぱ拾い・土を平らにする作業
田んぼの場所によってはすぎっぱなどが落ちている場合があるので、まずはすぎっぱ拾いから始める。
また、土が平らにならされていない場合は、水に覆われず、土が出てきてしまうこともあるので、土を平らにならしておく。土を平らにならすことで、水が田んぼに行き渡るようにする。
土をならすの時の注意点は、線引きの1週間ぐらい前に行うこと。水が濁ってから元の土が見える状態になるまで1週間ぐらいしないと戻らないため、タイミングが重要になる。
線引き
次は線引き用田んぼを使って線を引いていく。線に沿って田植えをすることで、真っ直ぐきれいに苗を植えることができる。
線引き用トンボの感覚は1尺(大体30cm)となっている。
土ならしの時の注意点にあった通り、トンボで線を引くときに水が濁ってしまうと、真っ直ぐ線がひけなくなり、苗を植えるときも曲がってしまうので注意する。
(必要に応じて)殺虫剤や肥料を苗にまく
必要に応じて苗を植える前に殺虫剤や肥料を撒く。
田に苗を植える
苗を植える作業へ。腰につけた苗箱に苗を入れておき、印に合わせて苗を植えていく。
余った苗は水に浸しておく
1週間ぐらいすると植えた苗が抜けていたり、水の深い部分でうまく苗が植えられていない部分がでてくるので、植え直しをする。その時のために余った苗は田んぼの隅の水に浸しておく。
機械植え (4条植え)の様子
機械に苗をセット
機械植えの場合はまずは機械に苗を設置するところから始まる。後ろにつける部分と前に予備を置いておく部分がある。後ろの部分は苗箱を外して設置しておく。
写真の四条植えの機械では、12枚の苗の塊を乗せることができる。
コースどりを考えて植える
機械で回るときはコース取りをあらかじめ考えておく必要がある。一度田植えをした場所は何度も通らないようにするため、外周を残して植えるようにすることで、帰り道を残しておく。また、外周を最後に植えるメリットとしては、田植え機でターンする時にえぐれてしまう土を整えることもできる。
今回の機械植えのコースの一例を下記に書いた。
以下の写真は黒倉生産組合で作っている田んぼの機械植えの風景。
田植えまでの作業の流れ
以下に田植えまでの流れをまとめた。
稲作作業の全体の流れはこちら。
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