ビッグヒストリーとは 万物の起源と歴史

里山・雪国の暮らし

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私たちがこの宇宙に生まれた時から様々なものがすでに存在している。

私たちが気づいた頃には近くには親がいて先に生まれた兄・姉がいて、家があって、日本に生まれれば大抵の人は日本語を聞きながら成長する。

そして成長すれば自動的に学校に行く仕組みが既にあって、会社で働く仕組みがあって、様々なサービスを受けれるお店がある。

図書館に行ってみれば、自分の知らない情報が載っている本が沢山ある。そこには自分の知らない世界や人種、歴史、宗教、言語があり、世界を理解するために様々な学問の世界があり、自分が生まれる前に多くの出来事が起こっていたのだということを知る。

この私が今いる世界とは一体なんなのだろう?私を含むこの世界・万物はどのように生まれ、一体どこへ向かっていくのだろう?

ビッグヒストリーはそんなとてつもなく大きな疑問に対してわかりやすい枠組みを提供してくれる。


ビッグヒストリーとは

ビッグヒストリーとは宇宙の始まりから終わりまでの全てを扱う歴史であり、全ての学問領域(物理学、化学、生物学、歴史学、地理学、社会学など)を統合した学問でもある。(1)

現在存在している万物、エネルギーはどのように生まれ、どこへ向かっていき、私たち人類はこの万物の中で今どの位置にいるのか、を再認識する。


参照:Christian, D. (2019). Origin Story: A Big History of Everything (デイヴィッド・クリスチャン 『オリジン・ストーリー』 柴田裕之訳 筑摩書房)



歴史の大きな括り

ビッグヒストリーでは歴史の大きな括りを以下のように分けて話を展開していく。

  1. 宇宙の始まり
  2. 恒星と銀河
  3. 新たな元素
  4. 衛星と惑星
  5. 生命
  6. 人間
  7. 農耕
  8. 人新世
  9. 未来


宇宙の始まり

宇宙の始まりから終わりまでの歴史を語るためにはもちろん宇宙の始まりから語っていくわけだが、これがとても難しい。

現在宇宙の始まりとして最もよく知られているのは「ビッグバン」だ。

ビッグバンの瞬間、宇宙全体は原子一個よりも小さく、今日の宇宙に存在している全てのエネルギーと物質がその中に凝縮されていた(1)。

そこから宇宙が広がり、現在の世界ができていったとされるが、ではその物体がなぜ、どのように出現したのだろうか?その物体ができる前は何があったのだろうか?

宇宙の起源に関して謎はまだまだ多くあり、解明されていないことも多い。

しかし始まりがどうであれ、ビッグバンが始まってからエネルギーが生まれ、エネルギーが「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」に分かれ、さらに物質や物理法則が生まれ、現在の世界を形作る基礎ができていった。



恒星と銀河

次のビッグヒストリーの転換点は恒星と銀河の誕生だ。

エネルギーと物質が生まれ、重力が出てきた時、恒星と銀河ができる下地ができた。

重力が物質をひきつけ、恒星を作り上げ、何千億もの恒星が集まることで銀河が誕生し、原始の宇宙が誕生する。


新たな元素

化学の周期表に書かれている多くの元素達。あの元素のおかげで様々な物質ができるわけだが、そもそもあの数多くの元素はどうやって生まれたのだろう?

恒星が崩壊する時(超新星爆発など)新たな元素が生まれるのだが、新たな元素が生まれ、宇宙が化学的に豊かになったことで、もっと複雑な分子が生まれるようになり、地球や月など、新しい種類の天体を形成できるようになった。


衛星と惑星

新たな元素が生まれたことによって、様々な種類の衛星や惑星ができる下地が整った。

例えば地球の構成要素の中にはケイ素(Si)や鉄(Fe)が含まれており、これらの元素が生まれていなければ、地球も生まれて来なかった。


生命

元素が分子になり、さらに複雑な分子が誕生するようになると、そこから生命が生まれる。

しかし生命とはなんだろう?非生命と生命の違いは?この問題については様々な見方がある。


生命とは何か?

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人間

やがて初期の生命は時間をたつごとに進化し、分岐し、微生物や動植物など、様々な種類の生命が生まれるようになる。

こうして多くの種類の生命のうちの一つとして、人間(ホモ・サピエンス)が誕生する。


微生物の種類:微生物にはどんな種類があるのか?

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農耕

農耕が始まる頃には、人々は狩猟社会の中で集まって行動し、その中で生きる知恵も蓄積されていた。植物についての知識も蓄積されていたのかもしれない。日本も米を中心にして、農耕社会が作られていく。



農耕社会が始まり、作物に余剰ができるようになると分業によって社会の機能が複雑化する。

こうして国家が出来上がっていく。交易や商業も多く生まれ、富を蓄えるものも出始め、不平等が生まれ始める。

金融システムや交通インフラ(船や道路)など交換を加速する技術によって国家が繁栄していく。



人新世

現代社会になるまでに私たち人間は大きく環境や社会を変えてきた。

とても大きな変化であることから、多くの学者は人間の時代、「人新世」に入ったと主張し始めた。(1)

何がここまで人類の発展を加速させていったのだろうか?

  • 15世紀の大航海時代からのグローバル化
  • 貿易、人の行き来、情報の行き来などによる知識の蓄積
  • 新たなエネルギーの開発(化石燃料、原子力など)
  • テクノロジー・科学の発展

などポイントをあげればキリがない。

テクノロジーによって食糧生産の生産性は格段に上がり、また保存技術も改良されていき、人工増加に繋がった。



情報テクノロジーの発展によってさらに成長は加速した。

情報テクノロジーの進歩によって、複雑な現代社会を維持するために必要な膨大な量の情報の蓄積、保存、管理、利用が以前より簡単になった。(1)


コンピューターサイエンスとITの全体像

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こうして人口は大幅に増加した。これも利用できるエネルギーが大幅に増えたからでもある。

しかしこうした社会の流れはエネルギーの過剰消費、気候変動といった問題に直結しており、動植物の生態系などにも大きく影響を与えている。



このような状況に人類は今差し掛かっている。次の大きなビッグヒストリーの転換点は何になるのか?


未来

次の歴史の転換点はなにになるのだろう?

未来はどうなっていくのかは誰にも分からないが、今様々な方向で次世代の人類のための取り組みがなされ、様々な未来が推測されている。


脳のコンピューターの接続

脳をコンピューターで直接繋げたり、複数の脳同士を繋げるテクノロジーができ、インターネットに瞬時に接続できたり、人の体験が自分の記憶であるかのように思い出すことができるようになあった時、人間の記憶、意識、アイデンティティに大きな変化が起こるかもしれない。(2)

今の人類では考えられないスピードで情報や思考、感情が共有され(しかもさらにリアルに、継続的に)、現在の社会構成も大きく変わるかもしれない。


シンギュラリティ

AIが自分の知能よりさらに賢いAIを作り、そのAIがさらに賢いAIを作り...という繰り返しが起き、今の人類よりはるかに賢くなったAIが、人類の知能では到底考えられなかったような社会を作り上げ、生活を激変させるかもしれない。


他の惑星への移住

宇宙関連のテクノロジーが発展し、人類を無事他の惑星に届けられるようになり、他の惑星での生活環境が整った時、人類は地球を飛び出して他の惑星にどんどん移るようになっていくかもしれない。


持続可能な社会の実現

テクノロジーの発展やビジネス構造や現在の生活環境の変化によって、完全に化石燃料の依存を脱却し、エコシステムを保護し、持続可能で他の動植物とも共存を可能にする社会が生まれるかもしれない。


宇宙の終わり

始まりには必ず終わりがある。私たち人類がいる宇宙はすでに始まっているのだから、いつか終わりがくるのだろう。人類もいつか全て消滅する。

Christian (2019)は、宇宙のシナリオのストーリーについて下記のように述べる。

遠い遠い将来、宇宙はずっと膨張し続け、銀河は時空の彼方に姿を消す。そして今人類がいる銀河の周りには何もなくなる。

恒星も10¹⁵年先まで形成されては燃え最後には銀河は燃え尽きた恒星や惑星だけになる。

そして残った無数のブラックホールが恒星や惑星の残骸を吸い込み、ついにはブラックホール同士でも共食いが始まり、肥大したブラックホールが数個残り続ける。

そしてそのブラックホールが10¹⁰⁰年ぐらいまで残ったあと、ついに縮小し、消失する。

こうして宇宙の物語は終わりを告げる。


注:
(1) Christian (2019)
(2) Harari (2018)
参照:
Christian, D. (2019). Origin Story: A Big History of Everything (デイヴィッド・クリスチャン 『オリジン・ストーリー』 柴田裕之訳 筑摩書房)
Harari, Y. (2018). Sapiens: A Brief History of Humankind. Harper Perennial; Reprint edition.(ユヴァル・ノア・ハラリ 『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 柴田裕之訳 河出書房新社)

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