世界有数の豪雪地帯、新潟県十日町市松之山の積雪量・降雪量を写真で振り返る

新潟は全てのエリアが豪雪地帯に指定されている(令和3年時点)が、その中でも十日町の積雪は日本一を争う、いや、世界有数の豪雪地帯ともいえるかもしれない...新潟県十日町市松之山では2021 - 2022シーズンには4mの積雪を超え、雪と共に人々は暮らした。実際豪雪地帯にはどの程度雪が降るのだろうか?どんな景色の変化が見えるのか?ここで写真で2021-2022シーズンを振り返りつつ、写真で十日町の積雪を振り返っていきたい。



令和3-4年:十日町の積雪観測データ

データは十日町市市役所の「令和3年度冬の雪情報」より参照した。(松之山主観測所 [松之山支所庁舎] 標高:360mでの観測)平成18年度まで日毎の積雪量のデータを遡ることができたので、下記のグラフで比較している。青のグラフが2021 - 2022年の十日町の積雪量であり、グレーのラインは2007 - 2008, 2008 - 2009の積雪量というように過去の1年毎の積雪量をグラフに表している。


過去の雪情報」を参照して作成


21-22シーズンは最高積雪は2月後半の412cm。松之山の黒倉集落にて撮影の記録を行った。この積雪を日常の活動と合わせて写真で振り返ってみたい。


11/26 - 12/6の積雪量

過去の雪情報」を参照して作成


松之山についに雪が降り始める。根雪になる前の最初の初雪のような形で降り始めた。田んぼにはうっすら雪がつもり、いよいよ冬がやってきた、というような気持ちになる。11/26 - 12/6の間は観測上は最高でも10cmほどの積雪量であり、根雪にならずこの時の雪は全て溶けてしまった。

2021/11/28の松之山黒倉の田んぼの様子。田んぼがうっすら雪で白くなり始める。

黒倉では地域住民で結成された「黒倉助っ人隊」という除雪隊があるが、2021/12/2に除雪隊が初出動する。観測上ではこの時に積雪深10cmほど。

2021/12/2に除雪隊が初出動する。観測上ではこの時に積雪深10cmほど。


2021/12/2の大地の芸術祭の作品「パレス黒倉」の作品の舞台となっているつんねの家の様子。うっすら雪が積もっている。

2021/12/2「大地の芸術祭」の黒倉の作品の舞台となるつんねの家の様子。うっすら雪が積もっている。


十日町市市役所の「令和3〜4年冬の雪情報」の11/26 - 12/16の間では降雪量も12/1の10cmが最大となった。


12/17 - 12/24の積雪量

過去の雪情報」を参照して作成


12/17からまた雪が降り始め、ここから松之山では根雪になっていく。この期間では観測上12/20がピークで50cmの積雪量になった。田んぼもある程度白くなり、銀世界になり始める。

2021/12/20の黒倉の田んぼの様子。この頃には観測上50cmの積雪があり、だいぶ白くなってきた。


黒倉が一面雪景色に変化していく。このぐらい積もると、住む者の気持ちとしては、いよいよ根雪になって冬本番だ、という気持ちの変化が現れる。

2021/12/20の黒倉の田んぼの様子。



12/17 - 12/24の間では降雪量は12/19の26cmが最大となった。


12/25 - 1/12の積雪量

過去の雪情報」を参照して作成


この期間から一気に雪が積もっていく。12/26では66cmに増えた積雪量が、ピークの1/1には173cmまで増えていく。地域の除雪隊である助っ人隊が本格的に出始め、屋根の雪掘りも始まるようになる。

2021/12/30 屋根の雪掘りを開始。


2021/12/31には自宅玄関前が雪で埋まる。 朝と夕方で2回黒倉助っ人隊が玄関前の除雪をおこなってくれる。この除雪がなければ、ウエアを上下着てもがきながらでないと外に出れない。

2021/12/31 玄関前が雪で埋まる。 黒倉助っ人隊除雪作風景。


2022/1/1、籾摺りなど米作りで使われる黒倉の共同作業所が一気に雪で埋まり始める。

2022/1/1 黒倉の共同作業所が一気に雪で埋まり始める。


除雪作業が本格的に始まる一方で、松之山黒倉は一面銀世界に変わっていく。スノーシューなどで探検するには最高の時間だった。

2022/1/1 棚田一面が美しい銀世界に変化。


神社も鳥居が埋まっていき、まさに厳冬期というような印象を与えてくれる。

2022/1/5 神社の鳥居も埋まっていく。




この時期から雪板でパウダーを攻めるのに良いコンディションになってくる。特に松之山は中山間地で棚田もそこらじゅうにあり、スノーシューで探検しながら雪板で滑るには最高の環境だ。徐々に大雪のおかげで松之山は雪の遊び場へと変化していく。

2022/1/6 雪板遊びのためにスノーシューで裏山へ。絶好の雪板日和となった。


2022年の1/8には「大地の芸術祭」の黒倉の作品の舞台となるつんねの家もだいぶ雪でうもりはじめる。雪掘りが始まる。

2022/1/8「大地の芸術祭」の黒倉の作品の舞台となるつんねの家の雪掘り


12/25 - 1/12の間では降雪量は12/30の84cmが最大となった。やはり1日に80cm以上も降ると大分景色が変わる。


1/13 - 1/31の積雪量

過去の雪情報」を参照して作成


1/13 - 1/31になると積雪量も200cmに突入。観測上では1/18と1/21にピークとなる260cmに到達する。雪の壁が背の高さを越え、大分高く感じるようになってきた。

2022/1/14 ついに200cmを突破。


2022/1/23には大地の芸術祭の黒倉の作品の舞台となるつんねの家の雪掘り2回目をおこなった。すでに雪が二階部分にまで到達する。

2022/1/23「大地の芸術祭」の黒倉の作品の舞台となるつんねの家の雪掘り2回目。すでに雪が二階部分にまで到達。


1/13 - 1/13の間では降雪量は1/13の72cmが最大となった。


2/1 - 2/15の積雪

過去の雪情報」を参照して作成



2月の前半は降雪量がグッと増え、積雪量も3m台に。2月5日には降雪量が91cmを記録した。2022年2月6日の大雪が続いた日の早朝、スキーで早朝のパウダーを狙いに車で外出を試みるも、道路に雪が積もりすぎたために断念。

2022年2月6日の大雪が続いた日の早朝。駐車場から車が出れず。


松之山黒倉エリアは道路から水を流して雪を溶かす消雪パイプが通っていないため、夜に雪が降り続けると道路にそのまま雪が溜まってしまう。黒倉地域では朝の6時ごろと昼間の14:00頃と2回に分けて除雪を行うのだが、タイミングによっては雪が積もってしまう。この日は朝の除雪車が出動するまで外出を待った。車高の低い車は下手すると途中でスタックしてしまう危険性もある。

2022年2月6日の大雪が続いた日の早朝。


2月6日の除雪車が通った後の道路。車もやっと出られるようになった。綺麗に除雪をしてくれて本当にありがたい。

2月6日の除雪車が通った後の道路。


2月8日、雪に埋もれる家々。

2月8日 雪に埋もれる家々


つんねの家の雪掘り3回目へ。もはや梯子なしでも天井に登れそうなほどまで積雪が達した。除雪終了後には捨てた雪が屋根に到達しそうになってしまった。これ以上捨てることができなくなったので終了。

つんねの家の雪掘り3回目


雪掘り後


2/1 - 2/15の間では降雪量は2/5の91cmが最大となった。


2/16 - 2/28の積雪

過去の雪情報」を参照して作成



2月の後半にまとまった降雪があり、ついに積雪も2/24に4mに到達。2021 - 2022シーズンはこの頃が一番ピークの積雪になった。


2022/2/23撮影。


同じく2/23の様子。ロータリーの高さを超えて雪が積もる。もうすぐで電線にも届きそうな勢いだ。



黒倉集落の住民から、「昔は電線を跨いで登校したもんだ」と昔話を聞いたことがあるが、そんな嘘のような話がリアルに感じる。


2/24撮影。電線がかなり近く感じる


いつも通っている除雪の道も、小型除雪機が雪を飛ばせなくなってしまうぐらい高くなり、内側に迫り出して道が狭まってしまった。壁を広げて小型除雪機が使えるように、雪庇落としが始まる。


2022/2/24の雪庇落としの様子


2/24の雪庇落としの様子


しかしこんな大雪もものともせず、除雪で道を作る。ドーザーとロータリーで道を作っていく景色は圧巻だ。改めて除雪機のパワーを思い知る。

2/25の除雪の様子


2/25の除雪の様子


2/16 - 2/28の間では降雪量は2/22の78cmが最大に。



3月の積雪

過去の雪情報」を参照して作成


3月になるとまとまった降雪もなくなり、どんどん雪が減っていく。また、ユンボなどで雪の掘り出しなど、各場所で積もった雪の除雪作業も開始される。

共同作業所の苗代場所の除雪


この時期の除雪は春からの稲作をスケジュール通りに行うためにとても重要だ。もし雪が溶けていなければ苗をおくための苗代などが使えなくなるし、農道も通れなければ田んぼにすら行けない。3月から計画的に除雪が行われていく。


三月になると地面も少しずつ出始め、ふきのとうが見え始め、春の訪れを感じさせてくれる。

3/17 地面が見え始める


3/11 ふきのとうもちらほら見え始める


4月の積雪

過去の雪情報」を参照して作成



4月も積雪はなく、5月に入る頃にはほとんど雪が消える状態まで雪がなくなった。4月に入ると稲作作業も本格的に始まり、雪が残る中、苗を育てるための準備が始まった。

2022/4/17 雪が周りに少し残る中、田んぼの苗出し作業が始まる




4月の後半になれば黒倉でも桜が咲き、春の様相を見せるようになる。

2022/4/19 桜も黒倉で咲き、春の様相をみせる



4月は温度の寒暖差が激しく、霧が頻繁に発生した



なぜそもそも大雪が降るのか?

大雪になる原因として、三つのポイントがある。

  1. 季節風
  2. 対馬海流の海水気温
  3. 日本の独特な脊梁山脈の地形

詳しくはこちらにまとめた。


大雪の原因:日本海側で雪が多い理由を整理する

日本海側の大部分は「豪雪地帯」として知られているが、なぜ日本海側に雪が集中的に降るのだろうか。日本海側での大雪の原因を整理する。

続きを見る


データ詳細

2021 - 2022年の日毎の積雪を下記に表でまとめた。降雪深は1日に降った雪の量。積雪深はその日の時点で溜まっている積雪の深さ。



日付降雪量積雪量
2021/11/263
2021/11/2743
2021/11/28-5
2021/11/29-2
2021/11/30-2
2021/12/01100
2021/12/02010
2021/12/03-7
2021/12/0474
2021/12/05-8
2021/12/06-6
2021/12/07-2
2021/12/08-0
2021/12/09--
2021/12/10--
2021/12/11--
2021/12/123-
2021/12/1323
2021/12/14-2
2021/12/15-0
2021/12/16--
2021/12/1720-
2021/12/18820
2021/12/192627
2021/12/20-50
2021/12/21035
2021/12/22028
2021/12/23-26
2021/12/24024
2021/12/254819
2021/12/262566
2021/12/274780
2021/12/2822107
2021/12/290113
2021/12/3084102
2021/12/3143170
2022/01/0113173
2022/01/0216162
2022/01/035163
2022/01/0455149
2022/01/0515170
2022/01/0610165
2022/01/0713163
2022/01/08-170
2022/01/09-163
2022/01/10-146
2022/01/1125137
2022/01/1255153
2022/01/1372185
2022/01/1420233
2022/01/150225
2022/01/1613212
2022/01/1756219
2022/01/188260
2022/01/1916248
2022/01/2034240
2022/01/2117260
2022/01/22-247
2022/01/231238
2022/01/240225
2022/01/250222
2022/01/2610218
2022/01/279220
2022/01/2828223
2022/01/2926240
2022/01/3015251
2022/01/3133257
2022/02/0117270
2022/02/0210268
2022/02/0334268
2022/02/0435283
2022/02/0591295
2022/02/0641345
2022/02/0717350
2022/02/084341
2022/02/090328
2022/02/1012307
2022/02/110312
2022/02/12-305
2022/02/132296
2022/02/14-292
2022/02/151283
2022/02/168277
2022/02/1719280
2022/02/1817290
2022/02/191296
2022/02/2048285
2022/02/2141320
2022/02/2278345
2022/02/2354390
2022/02/241412
2022/02/25-390
2022/02/26-369
2022/02/270346
2022/02/28-337
2022/03/010331
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2022/03/0628304
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2022/04/13-115
2022/04/14-102
2022/04/15-93
2022/04/16-88
2022/04/17-85
2022/04/18-80
2022/04/19-76
2022/04/20-68
2022/04/21-59
2022/04/22-50
2022/04/23-44
2022/04/24-40
2022/04/25-35
2022/04/26-26
2022/04/27-12
2022/04/28-6
2022/04/29-2
2022/04/30-
十日町市市役所「令和3年度」より。観測場所は松之山主観測所(松之山支所庁舎)標高:360m




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